中畑清氏 多くの教え子残した“一流”ノムさん

[ 2021年12月14日 05:30 ]

中畑清氏
Photo By スポニチ

 【キヨシスタイル】11日に神宮球場で開かれた、野村克也さんをしのぶ会に参列させてもらった。しのぶ会って普通しんみりするものだけど、野球人生を振り返るVTRから弔辞まで笑いがあってさ。いい会だった。

 ノムさんはID野球に代表される勝つための細かい戦術ばかりクローズアップされるけど、実は野球の楽しさとかファンあってのプロ野球ってことを第一に考えてた人じゃないかな。

 4度のリーグ優勝、3度の日本一に導いたヤクルトの監督時代は「広報部長」を自任して、ボヤキながらの巧みな話術。四字熟語をうまく使ってメッセージを送った。テレビカメラの前でダンスしたり、おちゃめな一面も見せて注目を集めた。

 ONをひまわり、自分を月見草にたとえたノムさん。本当はひまわりになりたかったんだと思う。特に同じ学年の長嶋茂雄さんには憧れがあったんじゃないかな。

 東京六大学のスターとして巨人で華々しくデビューした長嶋さんに対し、京都の峰山高から南海(現ソフトバンク)にテスト入団。捕手というポジションで勝つための配球など、いろんなことを学びながら打撃を磨いて3冠王に輝くんだよね。

 オーバーアクションの長嶋さんを横目で見ながら、地道に結果を出し続けて「ノムラの考え」を築き上げ、ヤクルトで花を咲かせたノムさん。せんえつながら言わせてもらいます。あなたは立派なひまわりです。

 亡くなったのは昨年2月。コロナ禍でお別れの会ができず、ようやく開かれたしのぶ会に、8人の現役監督を含む600人もの関係者を集めたんだから。

 ノムさん語録に好きな言葉がある。

 「ひとつの仕事をして金を残すのは三流、名を残すのは二流、人を残すのが一流である」

 今年はノムさんの教え子が球界を引っ張ってくれた。東京五輪で悲願の金メダルに輝いた侍ジャパンの稲葉篤紀監督(現日本ハムGM)。2年連続最下位のヤクルトを日本一に導いた高津臣吾監督…。

 来年は日本ハムの新庄剛志監督に注目だね。ファンを楽しませながら、いかに勝つか。ノムさんもワクワクドキドキしてるんじゃないかな。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

続きを表示

2021年12月14日のニュース