広島・菊池涼8年連続GG賞受賞 二塁手初、守備率10割でも「まだまだうまくなりたい」

[ 2020年12月19日 05:30 ]

三井ゴールデングラブ賞表彰式

>壇上で話す菊池(撮影・篠原岳夫)
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 守備のベストナインを選ぶ「第49回三井ゴールデン・グラブ賞」が18日に発表され、二塁手として史上初の守備率10割を記録し、両リーグ最多の283票を集めた広島・菊池涼介内野手(30)が8年連続8度目の受賞を果たした。希代の名手は偉達成業の要因に「切り替え」を強調。来季も失策ゼロを掲げ「もっとうまくなりたい。ならないとダメ」と自らを奮い立たせた。

 1988~94年の辻発彦(西武)を超え、二塁手では最長の8年連続選出。しかも天然芝を本拠地とする二塁手が史上初のシーズン無失策、守備率10割という快挙を成し遂げての受賞だ。菊池涼は、充実感と安ど感を改めてにじませた。

 「何回獲っても、うれしい。試合に出ている以上は獲りたい賞だし、受賞の知らせを聞いてホッとしました」

 モットーは攻める――。「攻めない守備に価値はない」と言う。投手を、チームを助けるためにリスクを冒して球際を攻め、難しい体勢でも正確に送球する妙技。503に伸ばしたシーズン連続守備機会無失策記録の中で、10月14日の巨人戦をベストプレーに挙げた。

 「強い球を投げないとアウトにならない。体のバランスがハマらなかったら(一塁へ)投げられなかった」

 3回無死一塁で、二塁ベース寄りに転がった坂本の速い遊ゴロを田中広が好捕。トスを受けた菊池涼は体勢を崩しながらも一塁へ強く正確にジャンピング送球し、併殺を完成させた。「攻める守備」の真骨頂だった。

 「打撃で迷惑をかけているので、守備では絶対にやってやるという気持ち。今年は常に平常心でいられたし、“打球よ、飛んで来い“という自信があった」

 その胸中を、名手は「気持ちがみなぎる」と表現する。たとえ打席で凡退しても、攻守交代でグラウンドへ一歩を踏み出す際に切り替え、マイナス思考を排除、集中して打球と向き合う。「気持ちが全てにつながる。切り替えの大事さを痛感した」と振り返った。

 「まだまだ、うまくなりたいし、ならないとダメなんですよ」
 高い向上心。来季も失策ゼロを掲げる。30代に入り、体の動きや肩に衰えが出ることを覚悟するものの「ポジショニングでカバーできると思う」。土や芝生の湿り具合、風、投手の状態など嗅覚を研ぎ澄ませて把握し、自慢の二塁守備に磨きをかける構えだ。

 「アイツしかいなかった…と言ってもらえるプレーヤーになっていたい。常に全力で今後も頑張ります」

 山本浩二が持つ10度受賞の球団最多に並ぶまでマジック2。希代の名手が「エリア33」で来季、どんな妙技を披露するか楽しみだ。(江尾 卓也)

 ≪内野の同一ポジションで8度以上受賞は6人目≫内野の同一ポジションで8度以上受賞は、駒田徳広(巨4、横浜6=一塁手)、王貞治(巨9=一塁手)、山下大輔(大洋8=遊撃手)、辻発彦(西8=二塁手)、松田宣浩(ソ8=三塁手)に次いで6人目で、二塁手では辻と並び最多。連続受賞の最長は福本豊(阪急=外野手)の12年で、セ・リーグでは山本浩二(広=外野手)の10年、前記王の9年、前記山下の8年に並ぶ3位。

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