ソフトバンク田中正義に感じたどん欲な勝負への飢え

[ 2020年12月10日 11:30 ]

<ソフトバンク契約更改>契約を更改し球団事務所を後にする田中正義
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 くそ寒い中、球団事務所の前で、ただ待つ。シーズンを追えたスーツ姿の選手の、でかい背中は、どこか哀愁が漂う。今は、契約更改の時期だ。12月3日。革靴のヒモは、ほどけたまま。髪の毛も、伸びたまま。ソフトバンクの4年目右腕・田中正義が、契約更改を終えて現れた。

 「ダウンです。それだけで、いいですか? だいたい、想像が付くんじゃないですか?」と訴えかけてきた。

 16年ドラフトで5球団競合の末に1位入団も4年連続で減額。今季は右肘痛の影響もあって2軍戦の登板4試合のみ。1軍出番なしの結果に当然、サインをして受け入れたが、来季に向けたかなりの好感触と、どん欲な勝負への飢えを感じた。

 「もう1年、チャンスを頂けた。本当に感謝していますし期待には来年、応えられると思っている。来年いい形で入れる自信があります」。いい感触のまま早くトレーニングがしたい。投げたい。野球がしたいのだろう。靴ヒモなど気にせず、早々に帰って行った。

 春の宮崎キャンプはA組スタートだった。ただ右肘痛で出遅れた上に状態も整わなかった。9月下旬に実戦復帰しウエスタンリーグ最終戦となった11月1日、タマスタ筑後での阪神戦では9回を投げて最速156キロを刻んだ。これが20年最終登板。ここでつかんだ。

 「直球もそうですし、変化球の感覚もいいと思っているんです。直球に比例して、他も良くなっている」とグイグイとポジティブを押してくる。18年に1軍戦10試合、19年は1試合を投げた。1年空く、2021年。「歩みを止めることなく、時期も関係なく。毎日積み重ねてできるように」。休まずに12月から、すでに始動中だ。

 「まずは2、3月で面白いと思ってもらえるように。リリーバーで、勝ち試合に任されるように。まずはそこからです」と、田中。2月の宮崎キャンプから、その何くそ根性を右腕で示して欲しい。(記者コラム・井上満夫)

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2020年12月10日のニュース