阪神・糸井 2億1500万円ダウン 球団史上最大の減俸額「あかんかったらこうなる世界」

[ 2020年12月10日 05:30 ]

球団史上最大の減俸額で契約を更改し、会見する糸井(代表撮影)
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 4年契約の最終年だった阪神・糸井嘉男外野手(39)が9日、西宮市の球団事務所で契約更改交渉に臨み、年俸4億円から減額制限(1億円超は40%)を大幅に超え、球団最大で2億1500万円減の1億8500万円プラス出来高払いの単年契約で更改した。前日本ハムの新庄剛志氏と同様の「チャレンジ精神」を持って、レギュラー奪回を目指す。(金額はすべて推定)。

 背水の陣で臨む来季のテーマは「チャレンジ」だ。交渉後の会見で糸井は語気を強めて覚悟を口にした。

 「今年は規定(打席)にも乗っていないですし、ベンチにいる機会も多かった。あかんかったらこうなる世界なので。もちろん、今シーズン、自分はレギュラーではないと思っていますし、もう1回、体を万全にしてチャレンジできるというチャンスをいただいたので、思いきりぶつかっていきたい」

 悲壮な思いが伝わってきた。4年契約の最終年だった今季は阪神移籍後最少となる86試合の出場で、打率・268、2本塁打、28打点。古傷である右膝の状態が思わしくなく、規定打席到達は11年連続でストップした。

 「また試合に全部出られるようにチャレンジしたい。何歳になってもいろんなことにチャレンジしている姿を見て、刺激を受けました」

 心を突き動かされる出来事があった。7日に行われた12球団合同トライアウト。日本ハム入団からの3年間を同僚として過ごした新庄氏が、48歳で果敢にチャレンジしていた。06年の現役引退から14年間のブランクがありながら、タイムリーヒットを放った。年齢による体力の衰えや、様々な障壁を乗り越えての挑戦。そのひたむきな姿に感銘を受けた。

 来年7月には40歳となり、チームでは最年長となる。精神的支柱だった福留、藤川、能見が退団。「若い子たちに伝えられるような、選手になっていければ」と気持ちも新たにした。

 近大の後輩でドラフト1位・佐藤輝も外野での起用が見込まれる。競争はより激しさを増すが、それも望むところ。通算1696安打を放ち、生涯打率はジャスト3割。逆境をはね返すだけの経験値が、糸井にはある。
(長谷川 凡記) 

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2020年12月10日のニュース