中畑清氏 ダルビッシュは常に工夫重ね、9年目で一番いい状態

[ 2020年8月25日 07:00 ]

スポニチ評論家の中畑清氏
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 【キヨシスタイル!】朝もはよからテレビ東京の大リーグ中継(午前3時10分~)に呼んでもらった。ダルビッシュが先発したカブス―ホワイトソックス戦と筒香、山口の対戦が期待されたレイズ―ブルージェイズ戦の2元中継。現地から送られてくる映像を東京のスタジオで見たんだけど、無観客を感じさせない緊張感が伝わってきたね。

 160キロは当たり前で、150キロ台後半のボールが動く時代。守備ではデータ分析で極端なシフトを敷く。満塁で打球が投手の足元を抜けてタイムリーだと思ったら、二塁ベースのすぐ後ろに守っていてゲッツー。「基本はピッチャー返し」が通用しないんだ。

 打者はそんな投球やシフトに対抗して「フライボール革命」で打球を打ち上げて遠くへ飛ばそうとする。ベンチは選手任せで、作戦を仕掛けることはほとんどない。ベンチワークという点では面白さに欠けるけど、大リーグの打撃技術は私たちの時代から想像できないほどレベルが上がっている。中でもホワイトソックスは今季29試合で55本塁打、チーム打率.266。いずれもリーグNo.1を誇っているんだよね。

 ダルビッシュはそんな強力打線を7回6安打1点に封じ、10三振を奪った。凄いよ。5回2死二、三塁のピンチ。モンカダへの投球はしびれたね。フルカウントから左足をゆっくり上げて微妙にタイミングを変え、外角98マイル(約158キロ)で空振り三振に取った。フォームの緩急。現状にとどまることなく、常に工夫を重ねているんだね。大リーグ9年目で今が一番いい状態じゃないかな。

 一方、4打数無安打に終わった筒香。内容的には悪くない。追い込まれてからは軽打できっちりボールを捉えている。ただ結果がついてこないと、気持ちは重くなるよね。前向きにしてくれるのは1本のヒット。ファーストストライクは真っすぐにタイミングを合わせて待ち、甘く来たら逃さない。その姿勢を忘れず、壁を乗り越えてほしい。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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