カブス・ダルビッシュ “ニンジャ・スライダー”で単独トップ5勝!早くもサイ・ヤング賞期待の声

[ 2020年8月25日 02:30 ]

インターリーグ   カブス2―1ホワイトソックス ( 2020年8月23日    リグリー・フィールド )

<カブス・ホワイトソックス>7回を1失点で5勝目を挙げたダルビッシュ(AP)
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 カブスのダルビッシュ有投手(34)が23日(日本時間24日)、強打を誇るホワイトソックス戦で7回6安打1失点、10奪三振でリーグ単独トップの5勝目を挙げた。「ピッチングニンジャ」で知られるロブ・フリードマン氏とSNSでのやりとりで改良したスライダーを駆使しメジャー42度目、日米通算94度目の2桁奪三振。自身初の5戦5勝には探究心が詰まっている。(奥田秀樹通信員)

 ミシガン湖岸から約1・4キロ離れた、本拠地リグリー・フィールド。MLB公式サイトのジョーダン・バスティアン記者は「彼のスライダーははるかミシガン湖まで曲がる」と記した。「ホームベースの内から外に消えた」「明らかに今までと違う」。そんな言葉がツイッターに並ぶ。ちなみにホームベースの幅は43・2センチ。50センチ以上とも言える驚がくの曲がり幅を生んだスライダーを支えたのも、ツイッターだった。

 「あんなにスライダーを投げることも(今季は)なかった。最後はあれだけボールを投げても振るという確信があって投げていた」

 「ニンジャ・スライダー」と言うべきか。数日前に自身のツイッターのフォロワーに連絡した。米国の野球SNS界で「ピッチングニンジャ」として有名な、弁護士で投球分析家のロブ・フリードマン氏。球速の速いナックルカーブ習得のため、昨年の球宴MVP右腕のインディアンス・ビーバーの映像提供を求めた。ナックルカーブの習得は見送ったが「力の伝え方はスライダーにいいかもしれない」とブルペンで試投。「曲がりがいいし、球も速くなっている気がした」と応用した。

 過去6戦で29本塁打、リーグ最多の55本塁打と強打のホ軍打線を寄せ付けなかった。2回、先頭のアブレイユに左中間ソロを被弾。前日から4打席連発にも「今は誰が投げても打たれると思う。でもソロでしょ」と意に介さず、今季2度目の2桁奪三振。カットボールを序盤に多用する伏線から「同じようなストライクになるところからボールになれば、より振るだろう」と徐々に「ニンジャ」の効果を増幅。結局、今季過去5試合で全体の10%だったスライダー比率は27%に。今季最多の26度の空振りを奪ったが、スライダーで14度。277奪三振で奪三振王となったレンジャーズ時代、13年4月24日(日本時間25日)エンゼルス戦での13度を超え1試合での自身メジャー最多だ。

 握りも球の切り方も日々改良を重ねるダルビッシュの探究心が生んだ新たな武器。初登板での黒星後、5戦5勝。「去年も後半、最高かなと思っていた。今はそれ以上。予想がつかない」。34歳。米メディアからは日本投手初の「サイ・ヤング賞」の声が上がる。

 ≪決め球スラで8個/うち5つボール球≫前回登板で7三振のうちスライダーで奪った三振はなし。今回は10個中8個がスライダーで、うち5つは外角や低めに外れるボールゾーンのスライダー。いかにその変化に対応できなかったかが分かる。

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