阪神ドラ2・井上 痛快初タイムリー 甲子園の申し子や! 矢野監督「すばらしいバッティング」

[ 2020年3月9日 05:30 ]

オープン戦   阪神4―4巨人 ( 2020年3月8日    甲子園 )

<神・巨>8回1死一塁、井上は鋤原(左)から同点適時二塁打を放つ(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 阪神のドラフト2位・井上広大外野手(18=履正社)が8日、巨人戦に途中出場し8回1死一塁から左越えに自身オープン戦初安打となる同点二塁打を放った。オープン戦最初で最後の伝統の一戦で、未来の猛虎の4番候補が宿敵相手に強烈な印象を植え付けた。

 確かな足跡を残した。3点を奪われ1点ビハインドと形勢逆転した8回。1死一塁から井上が観客のいない甲子園で快音を響かせた。カウント1―1から鍬原の低め144キロ速球を捉えた一撃は、背走しジャンプキャッチを試みた左翼・モタをあざ笑うかのように後方で弾んだ。一塁走者・大山を迎え入れる同点二塁打。限定昇格したラスト2試合目、しかも宿敵相手に通算3打席目でオープン戦初安打。12球団の高卒新人では一番乗りとなるタイムリーで、華々しく伝統の一戦デビューを飾った。

 「(観客の歓声は)なかったんですけど、ベンチのみなさんが叫んで手を挙げてくれてたのでうれしかった」

 昨夏の甲子園大会決勝で星稜・奥川(現ヤクルト)から3ランを放って以来の甲子園での安打は、春季キャンプ中から意識し続けるファーストスイングから生まれた。初昇格を果たした7日日本ハム戦では1、2打席目ともに初球からスイングしたように、今は早いカウントから勝負を仕掛けることに重きを置く。「どんどん振っていくことが大事だと思っていたので、自分のファーストスイングで仕留められたのは次につながると思う」とうなずいた。

 近い将来、中軸を担うことを期待する矢野監督も「打球も井上らしい打球だった。(逆転された直後の)場面もよかったし、すばらしいバッティングでした」と称えた。今季中の昇格についても「こっちが使いたいなっていうものを残してくれば、ありうることだけど」と1年目からの1軍デビューの可能性も否定はしなかった。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、オープン戦は無観客試合となっている。この日はテレビ観戦してくれた虎党に衝撃を与えると同時に希望を与えた。

 「しっかりと自分のできることを最大限にやって(1軍に)呼ばれるのを待ちたいと思います。ファンのみなさんの前で打ったら、もっと大歓声が聞けると思う。一日でも早くその歓声を聞けるように努力したい」

 誰もが待ちわびる日本人の長距離打者。猛虎の4番に君臨する可能性を、巨人に、虎党に、示した「3・8」だった。
(阪井 日向)

続きを表示

この記事のフォト

2020年3月9日のニュース