【スポニチ潜入(3)】履正社・岩崎 最高2900回転!驚異のスピンが武器 昨夏の甲子園優勝投手

[ 2020年3月9日 10:00 ]

履正社・岩崎峻典
Photo By スポニチ

 スポーツニッポン新聞社が記事と動画を連動して紹介する新企画「スポニチ潜入」。主に関西圏のアマチュア野球選手を紹介する9日公開の第3回は昨夏の甲子園大会で優勝投手となった最速145キロ右腕、履正社(大阪)の岩崎峻典投手です。

 昨夏の甲子園大会決勝で、歓喜の瞬間をマウンド上で迎えた右腕が、さらなる飛躍を期す。履正社・岩崎は、昨年よりも大きくなった責任と背番号「1」を背負って、高校最後の一年に臨む。
 「エースと呼ばれる立場になってから、やっぱり、抑えて当たり前の立場なので、どんな形でもチームを勝たせることができたらと思います」

 背番号17だった昨夏は1学年上のエース・清水大成投手(早大進学予定)とともに2枚看板を形成し、頂点に立った。とはいえ、やはりエースと2番手では自覚が違う。昨秋の新チームから満を持してエースナンバーを背負うと、おのずと責任感が芽生えた。
 「(昨秋は)本調子ではなかったですが、本調子じゃない分、どれだけチームを勝たせられるかを、ずっと考えていました」
 夏の大会を最後まで勝ち抜いた疲労が残る中で臨んだ秋季大会だったが、公式戦9試合に登板し3完封を含む5完投。防御率1・65と抜群の安定感でエースの矜持(きょうじ)を示し、近畿大会4強入りの原動力となった。

 1メートル78、82キロ。直球の最速は145キロ。投じるボールには打者が驚くような角度があるわけではなく、驚異的な球速を誇るわけでもない。それでも昨秋公式戦は49投球回で49奪三振、奪三振率9・00を誇った。その要因の一つとして考えられるのは投球回転数だ。

 オフ期間にメーカーが測定した投球回転数は、直球が約2500回転、スライダーは約2900回転を計測。これは、驚異的な数値と言える。事実、当該メーカーが計測した投手の中では最高値だったという。直球には球速以上の伸びがあり、スライダーには打者の想像以上に変化する要素が備わっていると考えられる。だからこそ、空振りが取れる。これこそが、岩崎の強みだ。

 その武器を生かすための努力も怠らない。オフ期間は「9イニングを投げきる体力を付けるためにピッチンでも数を多く投げたり、走り込みでも数を多く走ったりということをしてきました」。投げ込みは多い日で一日200球を数えた。走り込みは長い距離をダラダラ走るのではなく、50メートル走を一日20~30本こなすことで、体に切れを出しながらスタミナ強化を図る練習に取り組んできた。目指す投手像は先発完投型の本格派だ。

 同時に体作りも推進し体重は5キロの増量に成功した。ひとまず「球速150キロ」に狙いを定めるが、本当の目標はその先にある。昨夏の「甲子園優勝投手」と言っても、それはすでに過去の出来事として消化済み。「秋の大会はそれ(甲子園優勝投手)が重圧になって力が入りすぎて、思うような結果が出なかった(部分もある)。力むというより良い風にとらえて結果を出していけたら」。今年は名実ともに「エース」として、頂点を目指す。(大阪報道部・惟任 貴信)

 ◆岩崎 峻典(いわさき・しゅんすけ)2003年(平15)3月11日生まれ、大阪市出身。最速145キロ(2年秋終了時点)。50メートル走6秒8、遠投100メートル。1メートル78、82キロ。右投げ右打ち。

 ※ 本記事の動画は「スポニチチャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UCCDmd01WsuFBF8n3yMjHQ1A)において9日正午頃、配信予定。次回は3月12日配信予定です。(記事、動画の内容は新型コロナウイルス感染拡大を受けた政府の臨時休校要請が出る以前に取材したものです)。

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