楽天・古川 G斬り8K!プロ1勝「やっとプロ野球選手になれた」

[ 2018年6月6日 05:30 ]

交流戦   楽天4―1巨人 ( 2018年6月5日    東京D )

<巨・楽>巨人戦で初勝利を挙げた古川(撮影・久冨木 修)
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 楽天・古川は腕を振り切った。5回、1点差とされ、なお2死一、二塁。ここで4球連続の直球勝負を挑んだ。「絶対抑えてやる」と、この日最速タイの149キロでマギーのバットに空を切らせた。5回6安打1失点。8奪三振で、勝利投手の権利を手にした。

 初先発の5月29日のDeNA戦は5回3失点で黒星を喫し、チームの5連敗が始まった。「自分がつくった悪い流れを止めたかった」。初回1死一、三塁でも岡本を143キロ直球で空振り三振。亀井にも4球連続で直球を投げ込み、146キロで空振り三振を奪った。

 イースタン・リーグでは7試合で4勝1敗。右打者の内角への角度を意識し、プレートの一塁寄りを踏んで投げるスタイルに変え、防御率0・61でリーグ1位を誇った。だが、佐藤投手コーチから「右打者への球がシュート回転している」と指摘され、三塁寄りを踏むことで直球を修正した。結果が出ているスタイルを変えた勇気が、プロ5年目の初勝利をもたらした。

 有田工から13年ドラフト4位で入団も4年間、白星はなかった。「胃腸が弱い僕のことも考えて支えてくれる」と、昨年12月24日に結婚した同じ佐賀出身の未和夫人から食事面のサポートを受け、昨年の88キロから85キロへの体重減に成功した。

 「これでようやくプロ野球選手になれた」。勝利球は「まずは奥さんに見せてから実家に送りたい」と言い、頬を緩ませた。5連敗で止め、チームは交流戦初勝利。梨田監督も「自信をつけてほしい」と期待する右腕が、明るい光をもたらした。 (君島 圭介)

 ▼楽天・三木谷浩史球団オーナー ドキドキしたけど勝って良かった。(梨田監督は)これから勝ってくれるでしょう。期待しています。

 《古川 侑利(ふるかわ・ゆうり)》

 ☆生まれ 1995年(平7)9月8日生まれ、佐賀県武雄市出身の22歳。

 ☆サイズ&投打 1メートル78、85キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 武内小3年から野球を始め、武雄北中では内野手。有田工では投手として1年夏からベンチ入りし、2年秋からエース。3年夏に創部114年目で初の甲子園出場に貢献し、全国1勝を挙げた。13年ドラフト4位で楽天入団。

 ☆自転車通学 3年夏の野球部引退後は、自宅の武雄市から学校のある有田町まで片道50分ペダルをこぐ。黒髪山を越え、アップダウンでプロ入りに向け筋力を鍛えた。

 ☆憧れの選手 ヤンキース・田中。楽天時代の13年日本シリーズ第6戦の160球完投に感銘を受け「気迫あふれる投球を見習いたい」。自身も高3夏は佐賀大会、甲子園で全7試合65イニングを投げ抜いた。

 ☆通算成績と今季年俸 15試合登板で1勝3敗、防御率4・60。750万円。

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