能見 さすが2年ぶり中継ぎ好発進 冷静に乗り切った魂の26球

[ 2018年6月6日 05:30 ]

交流戦   阪神2―3オリックス ( 2018年6月5日    甲子園 )

<神・オ>7回、リリーフカーに乗って中継ぎで登場する能見(撮影・成瀬 徹)
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 持ち場が変わっても、やるべきことは変わらない。リリーフ転向初戦となった阪神・能見が一つずつ、丁寧にアウトを積み重ねた。

 「そんなに気持ちが入りすぎることなく、投げられた。何とか0点で帰ることを考えていました」

 出番は先頭・小田から左打者3人が並ぶ7回に訪れた。まずは小田を空振り三振。続く福田を四球で歩かせ、前の打席で本塁打を放っている吉田正と対峙(たいじ)した。

 「いろいろなことをやりながらね」

 初球からいきなり高速クイックモーションを用いるなど工夫を凝らした。一方で、全5球とも直球で真っ向勝負。完全に併殺コースだった二塁正面へのゴロを糸原が失策。思わぬ形で一、二塁を背負っても最後まで冷静さは失わなかった。マレーロを二飛に仕留め、小谷野は遊ゴロ。当たっていた中軸コンビを退け、16年9月30日巨人戦以来となる救援を無失点でしのいだ。

 5月28日には39歳の誕生日を迎えた。これまで積み重ねた98勝のうち、救援投手としての勝利はわずか2勝に過ぎない。今季は先発として思うような結果が出なかったこともあり、2軍調整中だった5月下旬に配置転換が正式に決定。これまでとは全く違う役割を与えられたが、戸惑うどころか意気に感じた。

 「難しさはあるけれど、自分の仕事を果たしたい」。元来、肩の仕上がりが早く、ブルペンでの投球練習は11球。早々にルーティンを築くと、2軍の2試合をいずれも1回無安打無失点に封じ、この日から再び1軍へと戻ってきたのだった。

 左の中継ぎ不足解消に期待を抱かせた魂の26球。金本監督も大きくうなずいた。「1イニングですけど、早く慣れていってほしいですね。能見の場合は落ちるボールがあるから右打者でも、そんなに変わらないとは思う」。さまざまな起用方を描けることは首脳陣にとっても心強い。悔しい逆転負けの中、背番号14の存在がひときわ輝いた。(森田 尚忠)

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2018年6月6日のニュース