デーブ楽天走り勝ち 6回に4番下げ代走聖沢、浅い右前打で生還

[ 2015年4月19日 05:30 ]

<楽・日>6回1死一、二塁、後藤の右前打で二走・聖沢が生還

パ・リーグ 楽天4-2日本ハム

(4月18日 コボスタ宮城)
 2―2の6回無死一、二塁。楽天・大久保監督は早くもカードを切った。二塁走者のペーニャをベンチに下げ、12年盗塁王の聖沢を代走で起用した。

 「勝負を懸けた。オールインじゃないけど、あのイニングがきょうの勝負どころだった」。指揮官の言う「オールイン」とは、手持ちのチップ全てを賭けるというギャンブル用語。試合中盤ながら4番打者を代えてまで1点を取りにいった。

 その執念が実った。嶋が倒れ、1死一、二塁。続く後藤の打球は右前にゴロで抜けた。前進守備を敷いていた右翼手・谷口が素早く捕球し、バックホームの体勢に入った。それでも二塁走者の聖沢は三塁でストップせず、本塁に突入。三塁コーチの笘篠外野守備走塁コーチは「谷口の守備力。それと、この風でそれると判断した」と思い切って腕を回した。読み通り、本塁返球は三塁側に逸れ、聖沢は生還。勝ち越しのホームを踏んだ。

 本拠地のコボスタ宮城がある仙台市はこの日、試合中の午後3時に最大瞬間風速11・5メートルを記録するなど、試合開始から強風が吹き荒れていた。おのずと外野からの返球もそれやすくなる。それを見越しての判断だった。さらに「追い風」が吹く。なおも1死一、三塁。サンチェスの打球は中堅への浅い飛球。タッチアップを狙うのは難しい飛距離だったが、笘篠コーチは三塁走者の藤田に「行け」と指令を出した。「思い切って走った」と藤田。またしても中堅・岡のバックホームはそれ、捕手・近藤が捕球できず、追加点を奪った。

 なぜ、笘篠コーチは迷わずゴーサインを出したのか。ここにも風が影響していた。通常ならば打球を捕りながら送球体勢に入れるが、この日は強風。名手・藤田は言う。「この風だとフライから目を切ることができない。しっかり捕ってから投げないと」。普段よりも捕球に慎重になるため、送球までワンテンポ遅れると踏んだ。大久保監督は「超機動力野球」を掲げ、ここまでリーグトップの22盗塁。ただ、盗塁だけが全てではない。

 2連敗後の2連勝で再び貯金を1とした。「俺は競馬とか、ギャンブルはやらないんだよね」。そう話す指揮官が勝負どころでカードを切り、コーチが好判断を下す。ナインもベンチを信じる。チーム一丸で全員で大勝負に出て、白星につなげた。

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