鶴の恩返し!3年ぶり先発白星「重みが違いますね」

[ 2013年8月18日 06:00 ]

<神・ヤ>7回表2死三塁、山田を遊飛に打ち取りグラブを叩く鶴

セ・リーグ 阪神1-0ヤクルト

(8月17日 京セラD)
 中継ぎで挙げた2勝とは違うようだ。先発では10年7月3日巨人戦(東京ドーム)以来1141日ぶりの勝利。阪神の鶴はウイニングボールを手に、しみじみと言った。

 「やっぱり…。重みが違いますね」

 先発ローテーションの谷間で2年ぶりの先発機会が訪れた。最大のピンチは1―0の4回無死一塁。リーグトップの42本塁打を誇るバレンティンを迎えた。「ゲッツーが欲しかった場面。長打は絶対に打たれたくなかった」。初球、102キロのカーブをど真ん中に投げた。長距離砲を相手に緩い球は危険だ。鶴は勇気を振り絞った。見事にタイミングを外し、遊ゴロ併殺。7回を散発4安打無失点に抑え、リーグトップの12勝を挙げている小川に投げ勝った。

 今年、藤浪がドラフト1位で入団。さかのぼれば、高卒のドラフト1位は05年の鶴(当時高校生ドラフト1巡目)以来である。鶴のプロ初勝利は10年。5年もかかった。昨年は中継ぎ、今年も中継ぎで始まった。6月から2軍で先発調整を続け、ついに出番がきた。グラブに刻んだ刺しゅうは、自分が置かれている立場を考え「今、ここすべて」。千載一遇のチャンスをものにした。

 首位・巨人も中日に勝って、ゲーム差は7・5のまま。それでも、先発で起用した鶴から「恩返し」され、完封リレーで3連勝を収めた和田監督は「制球、テンポとも良かった」と称えた。18日の先発は藤浪。勝利のバトンは託された。

 ◆鶴 直人(つる・なおと)1987年(昭62)4月25日、大阪府生まれの26歳。近大付では甲子園出場なし。3年夏は大阪大会5回戦で敗退。05年高校生ドラフト1巡目で阪神に入団。入団5年目の10年5月29日の日本ハム戦(札幌ドーム)でプロ初勝利を挙げた。通算成績は89試合で6勝6敗0S、防御率3・41。1メートル80、77キロ、右投げ左打ち。

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2013年8月18日のニュース