雄星 ノーヒッターあと2人は成長の証し!前回は今季最短KO

[ 2013年6月13日 06:00 ]

<西・中>あと2人…9回1死、大島に中前打を許し西武・菊池はマウンド上でがっくり

交流戦 西武10-0中日

(6月12日 西武D)
 惜しい。西武の菊池雄星投手(21)が12日、中日戦で1安打完封し、今季7勝目を挙げた。9回1死までノーヒットノーランの快投を演じたが、大島洋平外野手(27)に中前打を浴び、あと2人で自身初の快挙を逃した。それでも8三振を奪い、両リーグ最多となる3度目の完封劇。防御率も1・41とし、リーグトップに返り咲いた。

 128球目。菊池は思い切り左腕を振った。だが、こん身の145キロ直球は大島に中前に運ばれた。ノーヒットノーランまであと2人。左膝からがっくりと崩れ落ちた。

 「悔しいです。(9回は)野球を始めて、初めてマウンドに行くのが怖かった」。花巻東3年時の09年センバツ1回戦・鵡川戦でも9回1死まで無安打。同じ完封に終わったことがあったが、プロでの大記録達成の重圧や緊張感は桁違いだったのだろう。「まだ自分には早いということだと思う」と言い聞かせた。

 球団では現監督の96年・渡辺久信以来の快挙だった。7回から記録を意識し、9回のマウンドに向かう前、渡辺監督からハッパをかけられた。「四球はいい。置きにいって甘くなるよりはコースを狙って思い切って腕を振れ!」。先頭の代打・荒木を148キロ直球で空振り三振。大島にも直球勝負し打たれた。悔しかったが「無我夢中で投げた結果」と納得もした。

 今季は右打者対策でチェンジアップに磨きをかけ、投球の幅を広げた。一方で、直球の威力にもこだわってきた。昨シーズン終了後から1日たりともボールを手放すことはなく、石井、涌井らと行った1月のハワイ自主トレでは既に遠投で低く鋭く投げられた。ウエートトレーニングも自らメニューを作成して取り組んだ。その結果、体の軸がブレなくなり、リリースポイントが安定。最速は150キロだが、それ以上に常時140キロ台後半を計測していることが成長の証であり「飛ぶ統一球」になっても、両リーグトップの防御率1・41である。

 23歳年上の「ライバル」にも成長の跡を見せた。6回1死一塁から代打で出てきた44歳のベテラン山崎と対決。11年8月18日楽天戦(西武ドーム)ではプロ初完封を目前にした9回に一発を食らった相手だ。「2年前と変わったところを見せたかった」と、2年前に打たれたチェンジアップで空振り三振に仕留めた。

 前回3日の巨人戦(西武ドーム)では4回4失点で今季最短KO。自身から始まったチームの連敗を5で止めて「何とか止めたい気持ちが強かった」と言った。その横顔は、たくましかった。

 ≪惜しいケース目立つ≫菊池(西)がプロ入り初の1安打完封勝利。この日は9回1死から大島(中)に初安打を許しノーヒットノーランを逃した。西武のノーヒットノーランは渡辺監督が現役時代の96年6月11日オリックス戦で達成したのが最後。以降、00年松坂、10年涌井が9回無死から初安打。西口が02、05年に9回2死から初安打され、05年8月27日楽天戦では9回まで完全に抑えながら延長でフイにするなど惜しいケースが目立つ。

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2013年6月13日のニュース