【野球のツボ】ウソはこれだけ?重すぎる野球の番人の隠ぺい体質

[ 2013年6月13日 10:03 ]

報道陣の質問に答える加藤良三コミッショナー

 ウソはこれだけなのか。疑問は残ったままだ。「統一球」に関して、明らかになったNPBの隠ぺい体質。仕様を変更したことを一切認めなかった上に、メーカーのミズノにまで口止めを指示していたとあっては、開いた口がふさがらない。プロ野球の世界に関係する者として、情けないし、恥ずかしい。

 このコラムでも「ボールは明らかに変わった」と指摘した。ボールが変われば、野球の質が変わる。だからこそ、仕様変更を決めた時点で「次のシーズンからボールを変えます」と発表すれば、それで済んでいたこと。たった、それだけのことがNPBには出来なかった。

 NPBの会見では「在庫を処理するため」と説明していたが、この隠ぺい体質を勘ぐると、もっと他に理由があったと思わずにはいられない。ミズノとの契約内容も含め、事態がこうなると、すべてが疑わしくなってくる。

 知っていたのはNPBとミズノの担当者だけという説明も疑わしい。12球団にも内緒にしていたという話だが、本当にそうなのか。多くのプロ野球人が同じ思いをしているはずだ。隠ぺい体質が明らかになった以上、すべてのことが疑われてしまう。球界は大きなダメージを背負ってしまった。

 コミッショナーは不正行為をした選手を永久追放にできるほどの権限をもっている。野球協約にも「コミッショナーが下す指令、裁定、裁決及び制裁は、最終決定であって、この組織に属するすべての団体及び関係する個人は、これに従う」とある。これだけの権限を持っている人が隠ぺいに関わってはいけない。コミッショナーは官僚の天下り先ではなく、野球を愛する野球人であるべきだと、かねがね思っていた。失った信頼を取り戻すためにも、決断するときがやってきたのではないだろうか。

 なお、NPBについては今月17日に発売される、著書本「侍ジャパンの死角!」でも問題点を取り上げています。(前WBC日本代表コーチ)

 ◆高代 延博(たかしろ・のぶひろ)1954年5月27日生まれ、58歳。奈良県出身。智弁学園-法大-東芝-日本ハム-広島。引退後は広島、日本ハム、ロッテ、中日、韓国ハンファ、オリックスでコーチ。WBCでは09年、13年と2大会連続でコーチを務めた。

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2013年6月13日のニュース