ダル 登板なしでも…「凄い選手」のスゴ技吸収

[ 2012年7月12日 06:00 ]

<米球宴>ベンチでツインズのマウアー(後列右)と笑顔で話すレンジャーズのダルビッシュ

第83回オールスターゲーム ナ・リーグ8―0ア・リーグ

(7月10日 カンザスシティー)
 大リーグの第83回オールスター戦が10日(日本時間11日)行われ、日本選手で唯一選出されたレンジャーズのダルビッシュ有投手(25)は登板機会がなかった。それでもメジャーのスーパースターたちと交流を深めるなど、2日間の「真夏の祭典」を満喫。貴重な経験を手土産に14日(同15日)のマリナーズ戦で後半戦初登板に臨む。試合はナ・リーグが8―0でア・リーグに3年連続で勝利し、ワールドシリーズの本拠地開幕権を獲得した。

 7回表終了と同時に左翼のブルペンに向かったダルビッシュ。しかし、マウンドに立つことはなかった。試合前に伝えられた役割は「延長戦要員」。序盤から大量リードを許す展開に、肩をつくることもなかった。それでも、濃密な時間を過ごした。「初めてのオールスターで、何人かの選手と会えて話もできたので、楽しめました」。試合後は広報を通じてコメントし、球場を後にした。

 全てが新鮮に映った。日本では所属チームに関係なく多くの若手投手がダルビッシュから何かを学ぼうとし、自身も積極的にアドバイスを送った。しかし、今回は違った。クラブハウスではレイズのエース左腕プライスに話しかけ、ベンチではメジャーを代表する捕手マウアーと談笑した。

 前日の会見では「凄い選手しかいない。何を見ても良い」と語っていた。ブルペンへ移動した後は、今季24セーブをマークしているインディアンスの守護神ペレスと2イニング近くも話し込んだ。米国での生活やトレーニング方法…。そして、同投手の決め球である縦変化のスライダーについても質問し、その場で腕を振るしぐさも見せた。「指先で切るイメージ。自分は腕があまり高くなく(スリークオーター気味)になるから、今の変化をしている、と言った」とペレス。代わりにダルビッシュからはツーシームの握りを教わったという。

 今回は「34番目の男」として最後の一人を選ぶインターネット投票での選出。それでも前半戦でリーグ3位タイの10勝を挙げた右腕への注目度は高く、練習中には右翼で球拾いをしている時にFOXテレビのクルーに突然カメラを向けられ、爆笑しながら質問に答えた。試合前の選手紹介では「Yu~」という大声援も飛んだ。

 登板は来年以降にお預けとなったが、両リーグで68人しか許されない空気を吸えたことは、替え難い財産となった。試合後はチームメートらとチャーター機でテキサスへ。「ミッドサマー・クラシック(真夏の祭典)」と呼ばれる球宴。多くのことを感じ、学び、そして吸収し、ダルビッシュは後半戦の戦いに臨む。

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