秋山監督 手向けの白星…ウイニングボール母に

[ 2011年8月12日 06:00 ]

<ソ・ロ>ロッテに勝利しハイタッチでナインを出迎える秋山監督

パ・リーグ ソフトバンク6-1ロッテ

(8月11日 ヤフーD)
 ソフトバンクの秋山監督は白球を手にして言った。「森福にもらったから、今からやってくるよ」。足早に球場を後にした指揮官が向かったのは故郷・熊本。もう会うことができない最愛の母・ミスエさんの通夜にウイニングボールをささげた。

 訃報が届いたのは10日のロッテ戦(ヤフードーム)の試合直後。1年半の闘病生活の末に心不全で亡くなった。「逝っちゃったよ。85歳だから十分に生きた。丈夫な体に産んでもらった」。最後に会ったのは8日。「みとれなかったけど、俺は選手の時からそういうものだと思っていた。きょうも試合をやっていた時は忘れている。それどころじゃない」。気丈に指揮を執ったが、一刻も早く亡きがらと対面したい思いはあっただろう。

 そんな指揮官の思いに選手が応えた。3回には松中が中堅フェンス直撃の適時二塁打、4回にも松中の2打席連続適時打などで一挙4点を奪った。松中は秋山監督と同じ熊本出身。「監督のお母さんには本当にお世話になった。チームが勝って、僕も活躍できてホッとしてる。ゆっくり休んでもらいたいですね」と話した。

 ミスエさんからは3人分の愛情を注ぎ込まれたという。秋山監督が生まれる前年に兄が7歳で死去。中学生の頃には姉が17歳で他界している。「上の2人が若くして死んでるから体のことを心配してくれた」。その母に手向けの白星となった。

 12日の告別式は欠席し、日本ハムと敵地での首位攻防戦に臨む。リーグ連覇、そして昨年果たせなかった日本一こそが最高の供養。そのために指揮官はグラウンドに立つ。

 ◆葬儀・告別式日程 秋山ミスエさん(享年85)の通夜は熊本県八代市内で11日に執り行われ、12日の葬儀・告別式は近親者のみで執り行われる。喪主は夫辰芳(たつよし)氏。

続きを表示

この記事のフォト

2011年8月12日のニュース