監督勘違いでエース降板…「助けてくれ」に一丸!

[ 2011年8月12日 06:00 ]

<東洋大姫路・海星>8回表2死三塁のピンチを切り抜けベンチに戻った岩谷(右)を笑顔で迎える東洋大姫路・藤田監督

第93回全国高校野球選手権大会2回戦 東洋大姫路4―0海星

(8月11日 甲子園)
 第93回全国高校野球選手権大会は11日、2回戦4試合を行った。第1試合では東洋大姫路(兵庫)が、7回に臨時代走をめぐる藤田明彦監督(54)の勘違いでエースの原樹理投手(3年)を交代せざるを得なくなる大失態を犯しながら、海星(長崎)を4―0で下した。
【試合結果】

 「あちゃ~、間違えた!」。藤田明彦監督がベンチで頭を抱えたのは1点リードの7回だ。試合後も反省の弁ばかり。「いやあ、えらいことをやってしまった。私も久しぶりで頭が飛んでいて…。初めて選手に頭を下げました」と照れ笑いだ。

 7回1死。それまで7イニングを3安打無失点に抑えていた原が、左側頭部に死球を受けた。治療のためベンチに退いたエースに代わり、藤田監督は臨時代走として広田を送った。直後の捕逸で二塁へ。そこで指揮官は「臨時代走の代走」として家入を起用した。しかし、臨時代走に交代選手を出せば、本来の選手は退かなければならない。近畿No・1右腕といわれる原を、わずか77球で降板させざるを得なくなった。

 「すまん!俺のミスだ!助けてくれ!」。藤田監督はベンチでナインに大声で謝罪した。相手の海星側も球審に「原が交代ですね?」と確認するほどの、前代未聞の大失態。指揮官は当初、臨時代走の広田に代えて、続く8回から家入を守備要員として起用するつもりだった。それがまさかの勘違い。そんな痛恨のミスをナインが救った。緊急登板の岩谷は2イニングを1安打無失点。兵庫県大会ではわずか2回2/3の登板だけだったが「自分の球が甲子園で通用すると分かってうれしい」。藤田監督から「もう1点取ってくれ!」と懇願された8回には、後藤田が公式戦初アーチとなる貴重な3ランを放った。

 藤田監督はかつて東洋大姫路を春夏4度の甲子園に導き、06年3月に勇退。名門再建へ、今年2月に監督復帰した。チームを5年ぶりの夏の甲子園に導き、ドタバタのすえの白星。「これだけヒヤヒヤしたのは初めて」。試合後はホッとため息をついた。

 ▽臨時代走 攻撃側選手に不慮の事故などが起き、一時走者を代えないといけない場合に許可される高校野球の特別規則。審判員が試合の中断が長引くと判断したときに相手チームに説明し、臨時の代走者が許可される。投手と捕手を除いた選手のうち、打撃が完了した直後の選手が臨時代走となり、記録上は全て元の走者の記録として扱われる。臨時代走に代えて別の走者を送ることはできるが、その場合は負傷した選手に代走を起用したことになり、負傷した選手は以後出場できない。

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2011年8月12日のニュース