ダル、来季は日本ハム残留!夢は“一時”封印

[ 2010年10月20日 06:00 ]

来季も日本ハムのユニホームを着ることになったダルビッシュ

 今オフにポスティング・システム(入札制度)を利用してメジャー移籍を検討していた日本ハムのダルビッシュ有投手(24)が19日、来季のチーム残留を自身の公式ブログなどで明言した。今季5年ぶりにCS進出を逃したチーム事情などを考慮して、この日までにダルビッシュ自身が決断。すでに来季に向けてトレーニングを始めている右腕は、夢をひとまず封印。来季もその右腕でパ・リーグ、そして日本球界を盛り上げる。

 これまで沈黙を貫いてきたダルビッシュは、「来年の事。」と題した自身の公式ブログでファンに残留を報告した。
 「メジャーどうこう言われています。ブログやTwitterにもたくさんのコメント頂きましたが、皆さんの予想が合ってるかどうかわかりませんが。来年は…北海道日本ハムファイターズのユニホーム着ていますよ」。さらにツイッターでもファンの「公式発表と取っていいんですよね?」の問いに「もちろん!」と答えた。
 ポスティング・システムで今オフの移籍を検討してきたダルビッシュは、シーズン中から米球界関係者らを通じてメジャー情報を収集してきた。球団側もダルビッシュが望めば、認める方針を示していた。だが、エースはここにきて残留を決断。理由は複数あった。
 今季チームは開幕から低迷。4位に終わったことで5年ぶりにCS進出を逃した。ダルビッシュ自身は4年連続防御率1点台も、12勝8敗に終わった。投球内容はほぼ完ぺきでも勝利に直結する仕事ができなかった。
 また楽天・岩隈が、今オフのメジャー挑戦を表明。日本球界を代表する右腕が2人同時に海を渡れば、野球ファンに大きな影響を与える不安についても周囲に漏らしていた。さらに、現在の世界的な大不況で、米球界のFA市場が数年前と事情が大きく異なっていることも影響。仮にメジャー移籍を表明しても、ポスティング・システムで入札額がどれぐらいになるかはまったく不透明だ。ここまで育ててもらった日本ハムに大きな移籍金をもたらすことが困難であれば、自身の我だけを通すわけにもいかなくなる。いかにも、周囲のことを大事にするダルビッシュらしい決断だった。
 ただ、夢の封印は一時的なものにすぎない。マネジメントも担当している父・ファルサ氏は「(決断は)本人に任せていた。夢があるならば、来年以降にタイミングを見て考えていけばいい」とアドバイスを送った。チームも自身も納得がいく成績を残せば、来オフにも再びメジャー移籍を目指すことになる。自身の夢のため、チームのために右腕は来季「日本ハム」で頂点を目指す。

 <エースの決断にホッ>ダルビッシュの来季去就について静観していた球団側もひと安心だ。日本ハム・山田GMは「(ポスティングについて)向こうから話をしてこなかったので、どうするつもりなのか、本当に知らなかった。こちらから持ちかける内容ではないので」と本音をこぼした。本人が移籍を希望すれば容認するのが球団方針だったとはいえ、現実問題として流出ならば来季戦力ダウンは必至。編成部門のトップは「来季は絶対に優勝しなければいけない。いるのといないのとでは全然違う」と胸をなで下ろしていた。

 ◆ダル移籍騒動経過
 ▼3月27日 ロッテ戦をヤンキーススカウトが視察。報道陣からメジャー挑戦への質問に「まあ一歩一歩、階段を上っていくつもりです」と初めて興味示す。
 ▼5月18日 父・ファルサさんが、昨年敏腕代理人のアーン・テレム氏と接触していたことを明かす。ただ「プライベートで会ったようなもの」と慎重な姿勢。
 ▼6月9日 AP通信が「ダルビッシュが大リーグの関心を集めている」と題した記事を配信。全米でも注目度上がる。
 ▼8月20日 西武戦にヤ軍スカウト部門トップ2、エプラー・プロスカウト部長とアマチュア部門を統括するオッペンハイマー球団副社長が極秘視察。
 ▼9月4日 ロッテ戦でメジャー8球団のスカウトがバックネット裏に集結し熱視線。白星はつかずも8回無失点に高評価は変わらず。
 ▼9月28日 今季最終戦。当時はロッテ次第でCS進出の可能性もあったため「今はCSに合わせて調整するだけです」と淡々。
 ▼10月12日 ダイヤモンドバックスが入札表明に備えて、獲得資金8000万ドル(約64億8000万円)を用意していることが判明。

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2010年10月20日のニュース