リー圧巻13K!“史上初”の快投でヤンキース斬り

[ 2010年10月20日 06:00 ]

ヤンキース戦に先発し8回2安打無失点で勝利を挙げたレンジャーズのリー

 【レンジャーズ8-0ヤンキース】優勝請負人の面目躍如だ。レンジャーズのクリフ・リー投手(32)が18日(日本時間19日)、ヤンキースを相手に8回を2安打無失点、13奪三振。重量打線を完ぺきに封じ込め、チームの対戦成績を2勝1敗とした。同一ポストシーズンで3試合連続2ケタ奪三振は史上初の快挙だ。フィリーズだった昨季はワールドシリーズでヤ軍から2勝をマーク。ポストシーズン通算8戦7勝無敗の左腕が、連覇を狙うヤ軍最大の敵として立ちはだかった。

 柔よく剛を制した。2―0の6回2死三塁。リーは76マイル(約122キロ)の外角低めカーブで昨年本塁打、打点の2冠に輝いたテシェイラのバットを真っ二つに折って遊ゴロに仕留めた。この試合最大のピンチを切り抜けた左腕は大きくほえた。
 「ポストシーズンの勝利はレギュラーシーズンに比べれば大きい。でもどの試合でも同じ対応を心掛けている」。カットボールやツーシームが主流の近年で、異色ともいえる鋭く落ちるカーブが最大の武器。直球やスライダー、チェンジアップも決め球にできる上、150キロ前後の直球と30キロ差の緩急が、大リーグ屈指の左腕としての立場を際立たせている。
 ヤ軍相手には昨年ワールドシリーズで2勝、今季もレギュラーシーズンで2勝0敗。2年連続リーグ最多得点をマークした重量打線が相手でもリーは事前データを重視しない。「まず速球を内外角に投げてスイングを観察する。自分にはそっちが大事。野球は投手と打者のアジャストの応酬だからね」とマウンドでの感覚を頼りにする。
 余力を残して8回で降板も、積み上げた三振はレギュラーシーズンも含めて自己最多タイの13個。同一ポストシーズンでは史上初の3戦連続2ケタ奪三振となった。ワシントン監督も「完ぺきなパフォーマンスを見せた。期待に応える内容」と賛辞を惜しまなかった。
 ポストシーズン歴代最多の19勝を誇るペティットとの「10月男対決」を制したリーは「まだ満足していない。やることが残っているからね」と表情を引き締めた。3勝3敗までもつれれば、第7戦で再び登板予定。優勝請負人。フィリーズで昨年逃した世界一に導くまでが、リーに課せられた使命だ。
 
 ≪5度目の2ケタ奪三振≫リーはポストシーズン5度目の2ケタ奪三振。これはR・ジョンソン(マリナーズほか)、B・ギブソン(カージナルス)に次ぐ歴代最多タイ記録だ。無傷の7連勝はO・ヘルナンデス(ヤンキースほか)の8連勝に並ぶ、O・ハーシュハイザー(ドジャースほか)に並ぶ2位。通算防御率1・26は、5試合以上に先発した投手ではS・コーファックス(ドジャース)の0・95、C・マシューソン(ジャイアンツ)の0・97に次ぐ史上3位と、すべてで傑出した数字を残している。

 ≪スライダーで変身≫リーが大ブレークしたのはサイ・ヤング賞を受賞した08年。このシーズン以前と以後で最も大きな変化は、スライダーの精度アップだ。07年までは被打率・344と打ち込まれており最大の弱点だった。しかし08年以降は・271と改善。それに呼応するように直球の割合が減ってスライダーが増え、その分、打者は的が絞りづらくなった。最終的に直球、チェンジアップ、そして元来最も得意とするカーブと、すべての球種の被打率が下がるという最高の相乗効果が生まれている。

 ◆クリフ・リー 1978年8月30日、アーカンソー州生まれの32歳。00年ドラフト4巡目でエクスポズ(現ナショナルズ)入りし、02年6月にインディアンス移籍。同年9月にメジャー初昇格。04年から3年連続で14勝以上を挙げ、08年に22勝8敗、防御率2・54で最多勝、最優秀防御率、サイ・ヤング賞に輝いた。09年途中にフィリーズ入りし、同年オフにマリナーズ移籍。今年7月にレンジャーズ入りした。今季は12勝9敗、防御率3・18。9年間通算で102勝61敗、防御率3・85。1メートル88、86キロ。左投げ左打ち。

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2010年10月20日のニュース