松井秀 不振でも焦らず 節目にもこだわらず

[ 2010年5月9日 18:02 ]

 【エンゼルス4―3マリナーズ】速球にバットを鋭く繰り出した。1死一、二塁で巡ってきた3―3の延長10回、フルカウントからの松井秀の一振りだ。打球は左前へ弾み、二塁走者がホームへ。勝利を手繰り寄せる1打点で、プロ18年目で日米通算1500打点に到達した。

 節目を迎えた感慨よりも「ああいう場面で打てたのはうれしい」と喜びが顔に広がった。主軸を任されながら打点から7試合も遠のき、チームは苦戦を強いられた。「走者がいる場面で回ってくるような打順を長い間、打っている。そういう役割を担っている」という意地と誇りがあった。

 ふらふらと左前に落ちた4回の安打は19打席ぶりだった。ただ、不振に陥っても「慌てない。焦りもない」と日々、取り組むことは一緒だった。だから勝負どころの打席で気負わない。ストライクゾーンに来る球だけを待ち構え、仕留めた。

 打点の多さは勝負強さを裏付けるが「塁に出る人がいて初めて達成できる。自分で打ってホームを踏んだのは本塁打でしかない」と考えている。執着するのはチームの勝利であり「勝つためなら四球でも何でもいい」。

 節目に達して自信を膨らませる選手もいる。だが、松井秀は違う。「通過点という気持ちも持たない。自分の数字には無頓着。それを振り返ることによって前を向く邪魔になる気がする」と話していた。過去に決してあぐらをかかない。変わらぬ意欲で、また次の打席に立つ。(共同)

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2010年5月9日のニュース