“最強8番”平本2発!16塁打!報徳圧勝

[ 2009年3月28日 06:00 ]

<利府・掛川西>2回1死三塁、平本龍太郎は左越え本塁打を放ちガッツポーズ

 【報徳学園15―2今治西】リニューアル甲子園にニューヒーローが誕生した。報徳学園(兵庫)の平本龍太郎捕手(3年)が27日、2回戦の今治西(愛媛)戦で6打数6安打2本塁打と打ちまくり甲子園新記録の1試合16塁打をマークした。1試合6安打は甲子園タイ、1試合2発も大会タイと記録ずくめの大活躍でチームの2季連続8強入り、春夏通算50勝に貢献。大舞台で開花した“恐怖の8番打者”が清原も、松井も、中田も、一気に超えていった。

【試合結果


 甲子園には普通の少年を1試合でヒーローに変えてしまう不思議な力がある。18安打15得点と大爆発した報徳学園打線。その中で最も輝いたのが8番打者の平本だ。
 「今までにこれだけ打ったことはないです。自分が一番驚いてます」
 ここまで公式戦ノーアーチ。初戦の高崎商(群馬)戦で3打数1安打1三振だった17歳が、いきなり2発を含む6打数6安打4打点。本人もビックリの猛打ショーは2回の2ランで幕を開けた。4回に左前打、5回に左中間へ三塁打を放ち早くもサイクル安打に王手。6回の中前打を挟んで8回には中堅を越える大飛球を放った。一塁を蹴った平本に視線が集まった。回るのか、止まるのか。「自分のことよりチームにプラスになることを考えた。あの当たりなら三塁まで行けると思いました。二塁で止まる気は全くありませんでした」
 勢いよく二塁を蹴ると、スタンドからはため息。三塁に達してベンチの反応をうかがった。チームメートは意味深な笑みを浮かべていた。
 9回の最終打席は左翼席へ会心のソロ。2度もサイクル安打を超えた。快挙はならなかったが、別の勲章を手に入れた。1試合16塁打は甲子園新記録。1試合6安打、1試合2本塁打もそれぞれ甲子園とセンバツのタイ記録となった。
 「打撃はおまけです。記録よりも8強の方がうれしいです。リードで2点に抑えられたことの方がうれしいです」
 お立ち台では笑顔を見せなかった。実は2日前に原因不明のめまいに襲われていた。病院で点滴を受け、前日の練習を休んだ。「試合に出られるだけでうれしかった」という状態だった。新チーム結成時に長打力を買われて5番だった打順も不振が続き、甲子園では下位。この日は初戦の7番から8番に下がり、捕手の仕事に集中していた。それが良かったのかもしれない。打席で余計な力が抜け、スイングが鋭さを増した。
 快勝でチームは春夏通算50勝。永田監督は「行きのバスで50勝をプレゼントしてくれと言っていた。よくやってくれた」と選手を称えた。準々決勝は中京大中京(愛知)と激突する。力が入る名門対決。それでも「浮かれることなくやっていきたい」と平本。学校では進学コース約170人の中で1位を取ったこともある秀才。特技は空手という文武両道のヒーローは最後まで冷静だった。

 ◆平本 龍太郎(ひらもと・りゅうたろう)1992年(平4)2月12日生まれの17歳。小4の時に兵庫・西宮市の「夙川ボーイズ」で野球を始め投手。小6の時に全国大会出場。報徳学園中1年から「兵庫タイガース」に入り捕手。2年秋からベンチ入りを果たしレギュラー。高校通算5本塁打。1メートル77、77キロ。右投げ右打ち。

 ≪今治西 初戦完投も…大戸ただ脱帽≫12安打を浴びた先発・大戸は「上位打線を警戒しすぎた。下位も迷いなく振ってこられた」と脱帽した。高めに浮いてボールが先行した立ち上がり。カウントを整えにいっては墓穴を掘った。一塁守備と往復しマウンドに上った回数実に4度。初戦で光星学院を相手に7安打1失点で完投した自信は砕け散り「自分の中のストライクゾーンを低くしないと」と夏への課題を挙げていた。

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2009年3月28日のニュース