9回ノーヒットノーランなのに…中野ああ無情

[ 2009年3月28日 19:51 ]

9回までを無安打無失点に抑えながら南陽工に敗れ甲子園を去るPL学園・中野隆之

 【PL学園1―2南陽工】9回を投げ終えて、ノーヒットノーランの偉業を達成しているはずだった。野球の神様は実に非情だ。PL学園のエース中野隆之に残されたのは、延長10回に失った2点による敗戦の2文字。もはや不運としか言いようがない。

 1回戦では昨秋の四国大会覇者の西条(愛媛)から11三振を奪い、1―0で完封した左腕。立ち上がりから絶妙の制球力を見せる。左打者には切れのいいスライダー、右打者にはスクリューボールが面白いように決まった。12奪三振。9回までは死球で走者を1人出しただけで、1本の安打も許さなかった。
 だが、0―0。打線が応えてくれない。10回、球数が100球を超えてから、自慢の制球が微妙に狂っていく。1死から甘い直球を左前に運ばれて、快挙は消えた。「気持ちを切り替えられなかった。球威がなくなっていた」。2死後、3連打で2点を奪われた。
 唇をかみしめ、敗れた責任を背負い込むエースを河野監督は「敗因は打撃だ」とかばった。記録ではなく、記憶に残る投球を見せて、左腕が甲子園を去った。

 春夏の甲子園大会で、9回までノーヒットノーランをしながら敗れた例は、1984年の第66回全国高校野球選手権の境(鳥取)の安部伸一投手。法政一(現法政・東京)戦で0―0の10回2死までノーヒットノーランをしていたが、許した初安打がサヨナラ本塁打となった。

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2009年3月28日のニュース