木内先輩譲りのマジック!土浦一6点差逆転勝ちで初戦突破 天国の名将に憧れる背番20・鶴町が投打で奮闘

[ 2021年7月10日 05:30 ]

全国高校野球選手権茨城大会1回戦   土浦一14ー7八千代 ( 2021年7月9日    J:COMスタジアム土浦 )

<土浦一・八千代>試合後、クールダウンを終え松田瞬(左)とタッチする鶴町(撮影・郡司 修)
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 第103回全国高校野球選手権(8月9日から17日間、甲子園)の地方大会は9日、東西東京、茨城などが開幕し、18大会で計118試合が行われた。茨城大会では、昨年11月に亡くなった元常総学院監督の木内幸男氏(享年89)の母校・土浦一が八千代との1回戦で最大6点差をひっくり返し、初戦を突破した。10日は41大会で計329試合が行われる。

 背番号20がワンサイドゲームの流れを変えた。2回を終わって1―7。初回途中から救援した右腕・鶴町開(3年)は4回に左前適時打で反撃のノロシを上げると、5回にも中前適時打を放ち、5点を奪う逆転劇に貢献。8回にも3点二塁打でコールド勝ちに導き、6点差を逆転する3安打6打点の大活躍だ。

 「元々(中学まで)は野手。つなぐ意識が結果につながった」。投げては2回に3点を失ったが「スライダーの握りを変えた」と一球ごとに得意球の曲がり幅を変える「マジック」で、八千代打線を幻惑。3回以降は1安打無失点に抑え、8回2死まで投げ「自分のやるべき仕事を全うできた」と胸を張った。

 故木内氏は大胆な用兵や戦法を駆使した「木内マジック」で甲子園通算40勝を挙げ、日本一に3度も導いた。高校野球史に残る名将が常総学院を率いて夏の甲子園で優勝した03年に鶴町は生まれた。土浦市出身で「物心ついたときから常総学院の大ファン」だった。

 小学生の頃は常総学院の練習を見学。耳をすまし、名将が選手に伝える言葉を聞いた。「強い言葉を言った選手には必ず理由を説明してフォローした。これが木内マジックだと実感しました」。そう振り返る鶴町は、木内氏の母校で、監督も務めた土浦一に進学。昨年11月に名将は天国に旅立ったが、「伝統校のユニホームを着ることができてうれしい。誇りに思います」と目を輝かせた。

 全国模試では100点を取った日本史で偏差値86を記録したこともある秀才は「将来は球団経営をしたい」と壮大な夢も持つ。1957年以来64年ぶり2度目となる夏の甲子園出場へ。憧れの常総学院とは勝ち進めば決勝で対戦できる。「今日の試合で勢いが出る。(これからの)一戦一戦で成長していきたい」。名将を知る後輩は力強く、頼もしかった。(柳内 遼平)

 ◇鶴町 開(つるまち・かい)2003年(平15)12月6日生まれ、茨城県土浦市出身の17歳。小学1年で野球を始める。土浦第六中から土浦一に進学し、1年秋からベンチ入り。憧れのプロ野球選手は中日・谷元。1メートル65、68キロ。右投げ右打ち。

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