拓大出身・勝呂が序二段V「良いスタート切れた」網膜剥離乗り越え4場所ぶりの復帰飾った

[ 2023年3月24日 13:02 ]

大相撲春場所13日目 ( 2023年3月24日    エディオンアリーナ大阪 )

<大相撲13日目>三島を押し倒しで破る勝呂(手前)(撮影・後藤 正志)
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 3場所連続全休明けの序二段・勝呂(25=藤島部屋)が三島(22=鳴戸部屋)との全勝対決を制して7戦全勝とした。

 立ち合い右へ動いてきた相手に全く動じず、よく見て一気に前に出て押し倒し。もう一人の全勝だった隆翔生(17=常盤山部屋)が先に敗れていたため、勝呂の序二段優勝が決まった。4場所ぶりの復帰場所を優勝で飾り「ホッとしました」と安堵(あんど)の表情。「場所前に準備はできていたけど、場所を通してさらに動けるようになってきた」と久々の本場所の土俵で白星を重ねながら相撲勘を取り戻していった。

 拓大4年だった19年の全日本選手権で3位に入り、三段目付け出し資格を獲得。卒業後は実業団相撲の強豪・日本通運に入社したが、1年半後に退社して付け出し資格の有効期限ギリギリとなる21年九州場所で初土俵を踏んだ。そこから順調に出世し、昨年名古屋場所では三段目で朝乃山を土俵際まで追い詰めるなど強さを見せていた。しかしその後、左目の網膜剥離を患って2度も手術。今年の1月末から本格的な稽古を再開し、今場所での完全復活へ照準を合わせてきた。「休場中は悔しさや不安もいっぱいあったけどいろいろな方に支えていただいて、やると決めてからは前だけ見てやってこられた。一回前を向いてからは何の問題もなく、ここに向けて合わせてきたのでよかった」。恐怖心に打ち勝ち、頭からかます相撲で7つ白星を並べた。

 自身の取組前には、拓大の2年後輩にあたる朝白龍(24=高砂部屋)が序ノ口優勝を決めた。「朝会って“お互い良い相撲を取って優勝しよう”と言っていたので、よかったかなと思います」。後輩に続いて序二段でも拓大出身力士が各段優勝を飾った。

 復帰への第一歩となる今場所は通過点と位置づけている。「これからどんどん上に行くにあたって最初が大事だと思っていたので、優勝できて良いスタートが切れたかなと思います」。まずはもといた地位へ、そこからさらに上を目指していく戦いが始まった。


 ◇勝呂 歩紀(すぐろ・いぶき)1997年4月9日生まれ、埼玉県上尾市出身の25歳。さいたま相撲クラブで小5から相撲を始め、中3で白鵬杯3位。東京・明大中野高3年時に国体16強。拓大3年時に全国学生選手権8強、4年時に全日本大学選抜金沢大会3位、東日本学生体重別135キロ以上級準優勝、全国学生選手権8強、全日本選手権3位。卒業後は日本通運に就職も1年半で退職し、藤島部屋に入門。21年九州場所で三段目付け出しデビュー。最高位は西幕下50枚目。1メートル69、148キロ。

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