りくりゅう ペア今季世界最高点で日本勢初の年間グランドスラム 木原「まさか達成できるとは」

[ 2023年3月24日 04:45 ]

フィギュアスケート世界選手権第2日 ( 2023年3月23日    さいたまスーパーアリーナ )

優勝し抱き合う三浦璃来、木原龍一組(撮影・小海途 良幹)
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 ペアのフリーが行われ、三浦璃来(21)、木原龍一(30)組(木下グループ)が141・44点をマークし、合計で今季世界最高となる222・16点で初優勝を果たした。同一シーズンで主要タイトルを総なめにする「年間グランドスラム」を全種目を通じ日本勢で初めて達成した。

 もう祈るしかなかった。演技を終わった三浦と木原はキス&クライで得点を待った。フリーの演技では終盤のスロー3回転ループで三浦が転倒。直前のペアが高得点を出したことも知っている。「終わった瞬間、三浦さんが落ち込んでしまっていた」と木原。フタを開ければ、直前のペアを上回る合計で世界最高得点だった。2人は抱擁し、うれしさと安堵(あんど)の入り交じった涙が流れた。木原は「母国開催で優勝できたことが物凄くうれしい」と実感を込めた。

 シーズンイン直前に三浦が左肩を負傷。1カ月以上も一緒に滑れなかった。焦りはあるが、ブルーノ・マルコット・コーチの言葉が胸を打つ。「誰かに勝つのではなく、過去の自分たちに0・1点でもいいから勝っていこう」。地道に努力を積み重ね、たどり着いたグランドスラム。木原は「まさか達成できるとは」と笑い、三浦も「ここまで来られると思っていなかった。龍一くんとコーチに感謝」と話した。

 木原は今でも覚えている。別のパートナーと初出場した同じ会場での13年全日本選手権。緊張のあまりフリー開始2秒で転倒し「全日本最速記録」を出したことを。当時ガラガラだった観客席から大勢のファンが日の丸の国旗を振っていた。「観客席を見てごらん。これだけみんなが称えてくれている。胸を張ろう」。木原は三浦に言った。

 日の目を見ない期間も滑り続けた木原に三浦という才能が加わり、新たな歴史が生まれた。「日本のペアスケーターがどんどん増加し、10年後20年後にこの日から変わったと言ってもらえるような日が来ることを願っている」と木原。まさに日本ペアの夜明けにふさわしい戴冠だった。

 ▽フィギュアスケートのグランドスラム 国際スケート連盟主催の主要大会(GPファイナル、四大陸選手権または欧州選手権、世界選手権)3つを制覇すること。同一シーズンでの「年間グランドスラム」は三浦、木原組が全種目を通じて日本勢初の快挙となった。直近では女子のメドベージェワ(ロシア)が16~17年、アイスダンスのパパダキス、シゼロン組(フランス)が17~18年に達成。また「生涯グランドスラム」を達成した日本勢は男子の高橋大輔、羽生結弦、宇野昌磨、女子の浅田真央がいる。

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