【有森裕子の目】マラソン日本と世界との差「引き出しが今の日本選手には足りない」

[ 2023年3月5日 16:20 ]

<東京マラソン>ゴール後、涙する松田(右)(撮影・木村 揚輔) 
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 5日に行われた東京マラソンの女子で、日本勢は松田瑞生(ダイハツ)が2時間21分44秒で6位に入ったのが最高で、昨年12月に肋骨を骨折した一山麻緒(資生堂)は2時間31分52秒の14位に終わった。世界の頂点に君臨するアフリカ勢との差はどこにあるのか。五輪連続メダリストの有森裕子さんが分析した。

 気温や風など気象条件が良かっただけに、女子の日本記録が出なかったのは残念でした。松田さんは少し下半身の動きが重いように見えましたが、スタートから果敢にハイペースの先頭集団についていきました。日本記録よりもはるかに早いペースで、多少戸惑いもあったかもしれません。

 スタートからのペースが今の日本選手にとってかなり早かったのは確かでしょう。でも、世界と戦うならどんな展開になっても食らいついていかなくてはならない。最初から最後までイーブンペースのレースはありえない。外国の選手は最初から飛ばしたり、後半の勝負所で急にギアをチェンジするなど、様々な形で揺さぶりをかけてきます。あらゆるパターンに対応できるだけの引き出しが松田さんに限らず、今の日本選手には足りないように私には感じられました。ペースメーカーに頼りすぎているようなところもあるのかもしれません。

 松田さんも一山さんもレース後は悔し涙を流していました。悔しさを忘れないことは大切です。でも、過去は変えられません。松田さんの安定感は抜群ですし、一山さんも故障がなければまた違った結果となったはずです。今回のことをあまりネガティブに考えず、気持ちを切り替えて次の目標に向かってほしいと思います。
 

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