【玉ノ井親方 視点】豊昇龍は今場所のダークホース 張り手はやりすぎると良くない

[ 2022年11月20日 19:44 ]

大相撲九州場所8日目   ○豊昇龍(上手投げ)翔猿● ( 2022年11月20日    福岡国際センター )

<大相撲九州場所>豊昇龍が上手投げで翔猿を破る(撮影・中村 達也)
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 豊昇龍は今場所のダークホースになりそうだ。序盤は少しモタモタするところがあったが、ここにきて動きが右肩上がりで良くなっている。

 翔猿戦はいつもの感じでなら、張り合いになったり、蹴返しを繰り出したりと忙しい相撲になっていたはず。ところが、この日は左から張ってすぐに左でまわしを取って胸を合わせた。途中で相手にもろ差しを許し、右の上手も伸びて不安定な形になったものの、翔猿を振り回すように右から投げを打って勝負を決めた。持ち前の足腰の強さと動きの良さを感じさせる一番だった。
 もともと押されると上体が浮いて、下がる癖がある。前半戦もそういう相撲が2番ほどあった。ただ、その時はうまく左からかわして回り込んで勝った。その反省から、この日は相手がそれほど大きくない翔猿ということもあって、あえて組みにいったのだろう。

 ただ、気になったのは、翔猿の顔を左手で張ってからまわしを取りにいったところだ。

 張り手は相手の出足一瞬止める効果がある。だがその分、脇が空いて差される危険もある。張り手もたまにやれば、相手の意表を突いて効果的だが、そればかりに頼っていると墓穴を掘ることになる。

 正攻法で当たって、前に出ながら組む自分の形をつくることができれば、前に出る圧力も出るし、大きい相手と当たっても簡単に押されなくなるだろう。(元大関・栃東)

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2022年11月20日のニュース