19歳の川崎春花 大会最年少V 4差逆転で初秋の地元・京都に咲いたシンデレラ

[ 2022年9月12日 04:11 ]

女子ゴルフツアー 日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯最終日 ( 2022年9月11日    京都府 城陽CC=6555ヤード、パー72 )

優勝インタビューを終え、ボードの前でバンザイする川崎春花(撮影・井垣 忠夫)
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 首位に4打差の4位から出た地元京都出身の新人・川崎春花(19=フリー)がツアーでの自己ベストを4打更新する64で回り、通算16アンダーで逆転優勝。ツアー初Vをメジャー制覇で飾った。19歳133日での優勝は14年の鈴木愛の20歳128日を更新する大会最年少記録。賞金3600万円と来季から3年のシードも手にした。首位から出た山下美夢有(21=加賀電子)は71とスコアを伸ばせず、通算13アンダーの2位だった。

 この春まで高校生だった川崎が、日本女子ゴルフ界で55年と最長の歴史を誇る大会で史上最年少優勝を決めた。最終18番で8メートルのバーディーパットを沈め、右手でガッツポーズ。「信じられないって気持ちが一番あって泣くとかは…。うれしい時は笑顔になっちゃいました」とあどけなさの残る顔で笑った。

 序盤はバーディーパットが続けざまにカップに嫌われたが、ふと「諦めない」という言葉が頭をよぎった8番から空気が変わる。

 PWがダフり気味に入った120ヤードの第2打が、まさかの直接カップに吸い込まれるイーグル。すると、後半は12番からの4連続を含む6バーディーの猛チャージで一瞬にして上位陣を抜き去り、2位に3打差。激しいV争いを繰り広げていた山下、森田ら最終組の18番のプレーを待たずに優勝が決まった。

 大阪・大院大高では団体・個人ともに日本一に輝いたが、プロ入り後は持病の腰痛にも悩まされ、プロ1年目の今季は10戦して6度予選落ち。ふがいなさから涙を流したこともあったが、8月に中学時代から師事するスイング研究家、田所一郎氏と「攻めのゴルフができていた」という高校時代のスイング復活に挑戦。不調の原因だった腰痛も騎手・武豊が手がけるジムで股関節と臀部(でんぶ)を強化して克服した。

 再びゴルフの状態が上向き始めた2週前の下部ツアーでプロ初優勝。自分なりに手応えを感じていたが、「ストイックなところが好きです」と目標にする前年覇者・稲見の次の女王に輝くとは想像さえしていなかった。

 将来の夢は「多くの人に応援されるすてきなプロゴルファー」と無邪気に笑う19歳。昨年、12位でプロテストに合格した城陽で、初秋に咲いた「春の花」。新たなシンデレラストーリーが始まる。

 【川崎 春花(かわさき・はるか)】
 ☆生まれ 2003年(平15)5月1日生まれ、京都市出身の19歳。
 ☆名前の由来 父方の祖父が生まれた季節から「春花」と命名。
 ☆ゴルフ歴 父・太郎さん(55)、姉・風花さん(22)の影響で7歳から始める。始めた当初、約4年間はツアー通算29勝の吉川なよ子に師事。大阪・大院大高では19年全国高校選手権で団体優勝、21年全国高校選手権春季大会で個人優勝。3年時には主将を務めた。
 ☆プロ転向 城陽CCで行われた昨年11月のプロテストに12位で一発合格。今年8月の下部ツアー、山陰ご縁むす美レディースで初優勝。
 ☆サイズ 1メートル58、51キロ。
 ☆好きな色 今大会の優勝ブレザーと同じピンク。「最高です」
 ☆好物 薬膳料理と発酵食の講師を務める母・雅子さん(53)の手料理。特に鶏卵うどん。最終日前夜は川崎家の勝ちメシである焼き肉。
 ☆趣味 おいしいものを食べること。

 《また新世代!!「03年度生まれ」1号》19歳133日でのメジャー制覇は畑岡奈紗が16年日本女子オープンで記録した17歳263日、17年日本女子オープンの18歳261日に続く3番目の年少記録。04年から実施された今大会の予選会通過者の優勝は初だった。8月のNEC軽井沢72で岩井千怜が、02年度生まれ以降の“ネクスト世代”初優勝を果たしたが、約1カ月で更新。03年度生まれの初優勝も果たした。日本女子プロ選手権での初出場初優勝は14年の鈴木愛に続く5人目。

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2022年9月12日のニュース