【玉ノ井親方 視点】過去4戦全敗の横綱戦教訓を生かした翔猿 バタバタ照の隙見逃さず

[ 2022年9月12日 19:45 ]

大相撲秋場所2日目   ○翔猿(寄り切り)照ノ富士● ( 2022年9月12日    両国国技館 )

<大相撲秋場所2日目>照ノ富士(右)を寄り切りで破る翔猿(撮影・久冨木 修)         
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 翔猿が良い仕事をした。横綱戦はこれまで4戦全敗。過去の対戦では、うまく相手の懐に入り込んでも、抱え込まれてそのまま持っていかれることが多かった。その教訓を生かして、この日は安易に中に入らなかったことが勝因だ。

 左右に動いて距離を保ち、相手がしびれを切らすのを待った。得意の右を差したり、上手を取ることができない横綱が、バタバタとした動きになり、隙を見せた瞬間を見逃さなかった。素早くもろ差しになると、相手の巨体を下から押し上げるようにして、一気に前に出て勝負を決めた。

 取組後に照ノ富士は右膝を伸ばして、少し気にするようなそぶりを見せた。両膝に不安を抱えているため痛みが出た可能性もあるが、そういう動作をすることはたまにある。

 横綱の場合、前に出る相撲を取っている時は問題ないが、引いたり相手を抱え込んで上体が浮いたりすると、膝への負担が大きくなる。

 初日、2日目と腰高になって取っているところが気になるが、もともとスロースターター。取組を重ね、場所の後半にかけて状態が良くなっていくタイプだけに、心配するようなことはないだろう。
(元大関・栃東)

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