東大初の力士誕生へ 須山 木瀬部屋選んだ“決まり手”は誕生日「師匠と一緒だったので」

[ 2022年4月16日 05:30 ]

受検する東京大の須山(日本相撲協会提供)
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 東大初の大相撲力士を目指す須山穂嵩(24=木瀬部屋)が15日、東京・両国国技館で行われた夏場所(5月8日初日、同)の新弟子検査を受検した。

 身長1メートル80、体重104キロで体格基準(1メートル67以上、67キロ以上)をクリア。内臓検査に問題なければ初日に合格が発表される。現在は文学部哲学科の4年生。自身と同じ誕生日の木瀬親方(元幕内・肥後ノ海)を師匠に選ぶなど独特の色を出し、来年3月の卒業までは勝負の世界との文武両道を歩む。

 小雨が降りしきる中、検査を終えた須山の表情は実に晴れやかだ。「これから始まるんだなという気持ちです。一日一日頑張ろうと思っています」

 受検に合わせ2日前の13日に木瀬部屋に入門したばかり。「集団生活をしたことがなかったのでまだ慣れません」と笑うが、幕内・宇良ら関取5人を抱える有力部屋を選んだ理由が想像の斜め上を行き、東大生らしい。「誕生日(9月23日)が師匠と一緒だったので」。ソウル・ミュージックの巨匠レイ・チャールズさんが生まれ、蔵前国技館が閉館した日だ。以前から部屋で稽古に参加するなど交流はあったとはいえ、誕生日という「決まり手」は史上初だろう。

 もともと格闘技には興味があったが、相撲を始めたのは東大入学後。学生相撲界では強豪ではない環境で相撲道を追求するもコロナ禍で稽古など満足にできず、出場できる大会も減少。学生生活は不完全燃焼に終わる。年齢制限の25歳が迫るなか「もう少し強くなれたら、強くなりたい」その思いを捨てきることはできなかった。

 国立大からプロ入りとなれば元三段目の一ノ矢(琉球大)、弓の里(高知大中退)、舛名大(名古屋大)、現役の三段目・庄司(埼玉大中退)に次いで5人目。東大からは初となる。24歳での異例の挑戦に注目は高まるが「プレッシャーはありません」と力強い。目標とする力士は第70代横綱の日馬富士。学業は8単位と卒業論文を残すだけで、今後は二足のわらじを履きながら力士生活を歩む。

 ◇須山 穂嵩(すやま・ほたか)1997年(平9)9月23日生まれ、埼玉県ふじみ野市出身の24歳。埼玉・市浦和高から2浪を経て東大文科3類に入学。大学入学後に相撲を始め、20、21年度には相撲部主将を務めた。家族は両親と弟。1メートル80、104キロ。

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