若隆景「不動心」で貴景勝撃破、首位並んだ!地元福島に勇気、初賜杯譲らん

[ 2022年3月27日 05:30 ]

大相撲春場所14日目 ( 2022年3月26日    エディオンアリーナ大阪 )

<大相撲春場所14日目>若隆景(左)は寄り切りで貴景勝を破る(撮影・奥 調)
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 関脇・若隆景が大関・貴景勝を寄り切りで破り12勝目をマーク。1敗で単独首位だった平幕・高安が大関・正代にすくい投げで敗れたため、2敗でトップに並んだ。大関・正代は勝ち越し、4連敗発進からのカド番脱出は史上初となった。平幕・琴ノ若は大関・御嶽海との3敗対決を制し、1差で優勝の可能性を残した。賜杯の行方は2敗の若隆景と高安、3敗の琴ノ若の初優勝が懸かる3人に絞られた。

 出番を待つ東の控え。目の前で1敗の高安が敗れても、若隆景は当然のごとく「不動心」を貫いた。結びの一番。貴景勝の激しい当たりに土俵際まで後退するが、慌てることはなかった。「はたかれた時に足を送れたのが良かった」。俵に詰まった左足を大きく前に踏み出す。すると大関が苦し紛れにはたいた。この機を逃さない。深く右下手を取りながら大関をつかまえ、もろ差しになった。最後は両かいなを返して力強く寄り切った。

 13日目に東洋大の先輩、御嶽海に敗れ後退したが、一夜で再びトップに並んだ。八角理事長(元横綱・北勝海)は「よく残った。いい相撲。明日が楽しみだ」と評価。高田川審判長(元関脇・安芸乃島)も「下からのおっつけ。持ち味が出ているというか、いい角度だった」と代名詞の攻めが効果的だったことを強調した。

 東日本大震災から11年。場所中の3月16日に再び大きな揺れに襲われた地元の福島市に大きな勇気を届けている。JR福島駅前ではこの日もパブリックビューイングを実施。雨、風が激しい中でも市民が集まって力を届けた。地元の後援会関係者は「久々に福島に明るい話題を届けてくれている」と感謝する。千秋楽には木幡浩市長も駆けつけ、市民挙げて郷土の星の快挙を後押しするという。

 千秋楽の相手は序盤とは別人のような強さを見せている大関・正代だが、流れは追いついた若隆景に傾きつつある。福島県出身としては72年初場所の初代栃東以来、50年ぶりの幕内優勝へ。36年の双葉山以来、86年ぶりの新関脇優勝へ。「明日も自分の相撲で頑張ります」と力強い口調で締めくくった。

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2022年3月27日のニュース