中島啓太 涙の史上5人目アマV ミレニアム世代21歳がプレーオフ制した 1差4位から逆転

[ 2021年9月27日 05:30 ]

男子ゴルフツアー パナソニック・オープン最終日 ( 2021年9月26日    京都府 城陽CC=6967ヤード、パー72 )

アマ優勝の中島啓太は優勝カップを掲げる(撮影・井垣 忠夫)
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 首位に1打差の4位から出た日体大3年の中島啓太(21)が通算18アンダーで並んだ永野竜太郎(33=フリー)とのプレーオフを1ホール目のパーで制し、ツアー史上5人目のアマチュア優勝を果たした。世界アマチュアランキング1位は当面、プロ宣言はせず。11月のアジア・パシフィック・アマチュア選手権優勝で手にすることができる来年4月のマスターズ切符を目指す。

 涙が止まらない。プレーオフを含めると4日間73ホール。ポーカーフェースを貫いてきた中島の表情が突然、崩れた。

 「心臓の音が聞こえるぐらい緊張してたんですけど、自分がやってきたことを信じて…。18年のアジア競技大会で金メダルを獲ってからはずっと悔し涙だったので、それがうれし涙に変わって良かったです」

 18番を舞台にしたプレーオフ1ホール目のウイニングパットはわずか50センチだったが、震える心を懸命に抑えながら沈めた。「ずっと背中を追い掛けてきた」という金谷拓実に続く史上5人目のアマチュア優勝。歓喜の瞬間の後、あふれ出た涙の味はまた格別だった。

 今年4月の東建ホームメイト・カップでは金谷に1打差の2位。今季の最も重要な大会の一つと位置づけていた8月の全米アマチュア選手権は、日本のエースとして参加しながら、初日に80を叩くなど8打及ばず予選で姿を消した。「どうやって立ち直れば…」。金谷に助言を仰ぎ、同学年の西村優菜に電話をかけたこともあった。

 導き出した答えは「しっかり自分と向き合うこと」。重圧のかかる場面でも正確なショットが打てるよう、今大会はパー3を除く14ホール全ての第1打に1Wを選択する究極の度胸試しプランに挑戦した。結果、3日目のフェアウエーキープ率は最下位。優勝争いの最終日は心が折れそうにもなったが、初志を貫いた。終盤の13番以降は5ホール連続でフェアウエーを捉えて2バーディーを奪取。最後まで自分と向き合い続けたことが結果にもつながった。

 日体大入学時の握力は女子並みの20キロ台。それが今は40キロ台になった。「毎日筋肉痛でした」と今大会中も連日ジムに通った。世界を見据えながらのアマチュアV。その価値は大きい。

 【中島 啓太(なかじま・けいた)】

 ☆生まれ 2000年(平12)6月24日生まれ、埼玉県加須市出身の21歳。女子の西村優菜らと同じ“ミレニアム世代”。「同世代の女子は凄くてナショナルチームでは僕は下っ端でした」

 ☆経歴 東京・代々木高から日体大。

 ☆サイズ 1メートル77、75キロ。

 ☆家族 両親と姉2人。

 ☆ゴルフ歴 6歳から。タイガー・ウッズ(米国)をテレビで見て父・正昭さんに6歳の誕生日にゴルフクラブをねだる。

 ☆主なタイトル 18年にアジア大会で個人・団体で2冠、今年の日本アマチュア選手権で初優勝。

 ☆尊敬する人 プロ野球・巨人の菅野智之投手。YouTubeでリーダーの在り方などを学ぶ。

 ☆ポーカーフェース 10、15年賞金王の金庚泰(韓国)を参考に感情を表に出さないスタイル。ただ、ゴルフ以外では涙もろい。金谷拓実のプロ転向のニュースを聞いた時には運転中に涙。

 ☆海外メジャー 今年8月にアマ世界一の称号マコーマックメダルを受賞し、来年の全米OPと全英OP出場権を獲得。4大メジャーで最も好きなのは全英。来年の開催地は聖地・セントアンドリュースで「感動しそう」。

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