パラ陸上車いす女子・村岡 100メートルで北京へ弾みの6位“冬夏出場”スケボー平野から刺激の二刀流

[ 2021年9月2日 05:30 ]

東京パラリンピック第9日・陸上 ( 2021年9月1日    国立競技場 )

競技を終え笑顔で手を振る村岡(撮影・木村 揚輔)
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 陸上の女子100メートル(車いすT54)決勝で村岡桃佳(24=トヨタ自動車)が16秒71をマークし、6位に入賞した。18年平昌パラのアルペンスキー座位で金を含む5つのメダルを獲得した“冬の女王”は、二刀流の挑戦を完遂。約6カ月後の北京冬季大会では東京で得た自信を胸に、連覇を思い描いている。

 チェアスキーから車いすに乗り替えた“冬の女王”が国立競技場を疾走した。全10選手中、8番目の記録で滑り込んだ決勝で順位を上げた6位入賞。「陸上挑戦に後悔はない。ここまで大変だったが、何より楽しかった」と夏を満喫した。

 5個のメダルを獲得した平昌大会後の19年春に陸上挑戦を決意。ただ、二刀流は村岡の想像を超える過酷さだった。本来なら20年の大会終了後にスキーに専念する予定だったが延期で狂いが生じた。1年間余計に夏と冬の準備をしなければならず、今春にはスキー競技会に出場した翌週に陸上大会に出るという強行軍も経験。「何度も心が折れそうになった」と振り返った。

 そんな村岡を救ったのはスケートボードで東京五輪に出場した平野歩夢(22=TOKIOインカラミ)の存在だ。冬季五輪スノーボードの銀メダリストが同じく夏出場に向けて懸命に努力していることを知り、「負けないぞって気を引き締められた」と刺激を受けたことを明かした。

 半年後の北京大会では戦いの舞台をゲレンデに戻し、再び挑戦が始まる。「これまでの日常が戻ってくる。ちょっと楽しみ」。新たな気持ちが連覇への力になることを信じている。

 【村岡 桃佳(むらおか・ももか)】

 ☆生まれ 1997年(平9)3月3日生まれ、埼玉県深谷市出身の24歳。

 ☆経歴 正智深谷高―早大。パラスポーツ選手として初めて早大の「トップアスリート入試」に合格。スキー部の寮は村岡のためバリアフリーに改修された。

 ☆競技歴 病気の影響で4歳から車いす生活。9歳でチェアスキーを始め、中学2年で本格的に競技を開始。17歳で日本代表に初選出された。

 ☆主な実績 ソチ大会大回転ではアルペンスキー女子座位5位入賞。開会式旗手を務めた平昌大会では日本史上最年少金メダリスト。また、日本人では最多となる1大会5個のメダルを獲得した。

 ☆陸上挑戦 19年春から陸上競技に参戦。20年9月にはT54クラスで日本記録(16秒67)を樹立した。

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