ボッチャ ゴールドウイン・中村寿技術主査、ラグビー代表ジャージーの技術応用した“一丸ユニ”

[ 2021年9月2日 05:30 ]

選手と対話しながら開発に取り組んだ中村主査(奥)
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 【支える人(9)】ボッチャの個人種目で日本人初となった杉村のメダル獲得を支えたのは、スポーツ用品メーカーのゴールドウインが開発した“一丸ユニホーム”だ。19年に「ワンチーム」で旋風を起こしたラグビーW杯日本代表のジャージーに使われた技術を応用。パフォーマンスの向上を引き出した。

 「選手が結果を出してくれると全てが報われる。それが開発に携わる者が味わえる特権かも」と4人の開発チームをまとめた中村寿技術主査(62)は話す。

 千差万別の投球フォームに対応できるよう、通常より6倍伸びる素材を脇の下に使用。選手が車いすに長時間座ることを考慮し、裏地の縫い目をなくした。3Dスキャンを使った身体測定を基に各選手の感覚を重視。パンツは座ったままフィットするように立体成型を採用した。体と座面が接する臀部(でんぶ)は滑るか滑らないか微妙な加減が求められ、選手の要望に応じて異なる素材を用意する。

 ラグビーはポジションごとの特徴に応じて3つのひな型を用意したが、各選手で障がいの部位や程度、感覚が異なるボッチャは「選手一人一人違います」と中村主査。選手と対話を重ねたパラ用のウエアは1年前に仕上がっていたが、延期を受けて微調整を施した。

 「火ノ玉ジャパン(日本代表の愛称)も“一丸”というコンセプトの下で強化に励んでいる。ワンチームと同様に選手やスタッフ、応援してくれる方々が一丸となって試合に臨むのが理想」と杉村。中村さんは「自分たちも仲間のつもりで。他の開発メンバーを含めて一緒のチーム」と訴える。2日からはペアとチーム戦が始まる。一丸でさらに突き進む。

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2021年9月2日のニュース