東京五輪、揺らぐ無観客の「覚悟」テスト大会では有観客のシミュレーションせず

[ 2021年6月1日 12:40 ]

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 新型コロナウイルス禍での開催を目指す東京五輪は、有観客を視野に入れている。

 感染の急拡大を受け、東京都などで4月25日から3度目の緊急事態宣言が発令。組織委員会は当初、4月に観客数の上限を決定する予定だったが、6月上旬にスライド。緊急事態宣言が延長、再延長となったことで6月20日の解除後に決定する方針に変わった。

 一時は有力視された無観客から、この間に有観客へと動きは急変。組織委の橋本聖子会長は4月28日に「状況が許せばより多くの観客に見ていただきたい」とする一方で、「無観客という覚悟は持っている」と話していた。

 だが、同会長は5月28日には「状況を見ていかないと上限を決めるのは難しい」とした上で、「他の競技、大会は有観客で行われているところもある。なぜ五輪だけができないのか、という指摘をいただいている」とコメント。そして、観客にPCR検査の陰性証明書やワクチン接種証明を求めるプランまで浮上した。

 国際オリンピック委員会(IOC)や組織委員会などは緊急事態宣言下で、バレーボールや飛び込み、陸上で海外選手も参加する五輪テスト大会を実施したことに胸を張る。だが、これらは全て無観客で、コロナ禍で観客を入れて実施する場合のシミュレーションはできていない。

 プロ野球やJリーグと五輪では開催規模がまったく違う。選手団や関係者向けにコロナ対策の「プレーブック」を作成したが、性善説に基づいていた内容で遵守されるか不安は残る。日常生活では自粛を強いられる一方で、「五輪ファースト」とも取れる状況では機運は高まらない。「安全安心」ばかりを強調しながら、開幕へのカウントダウンが進んでいく。

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2021年6月1日のニュース