大坂の会見拒否 やりたいことだけ発信するのでは一方通行…最悪の事態避けるためには歩み寄りが必要

[ 2021年6月1日 05:30 ]

全仏オープン1回戦で勝利した大坂は試合後の記者会見を拒否した(AP)
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 【記者の目】姉まりさんによる会見拒否に至った背景の説明を見て、大坂の決断は軽率だと感じずにはいられない。報道陣から苦手のクレーコートに関する質問が相次ぎ、心が折れたことがボイコットの理由ならプロとして認められる行為ではない。赤土王者と称されるナダルは、キャリア序盤は芝を苦手としていたが、それを受け入れて乗り越え、2度のウィンブルドン選手権優勝を果たしている。自身の弱みと向き合う姿勢こそトップ選手のあるべき姿だと感じる。

 会見を義務化するシステムに一石を投じたいのであれば、SNS発信ではなく、主催者側と協議するか、自ら会見に出て訴えるべきだった。SNSでは自ら見せたいこと、やりたいことだけを発信して一方通行。時間の経過とともに深刻さが増しているのは、大坂と主催者側の直接対話の不足も一因だろう。

 黒人差別に抗議して支持を得た20年全米と異なり、今回は世論や選手の賛同も得られていない。主催者側の主張は筋が通っており、4大大会からの排除という最悪の事態を避けるためには、大坂の歩み寄りが必要だろう。(テニス担当・木本 新也)

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2021年6月1日のニュース