パナ最後のTL飾った!WTB福岡が有終トライ!医師の道へ「後悔なく進める」

[ 2021年5月24日 05:30 ]

ラグビー日本選手権兼トップリーグプレーオフトーナメント決勝   パナソニック31-26サントリー ( 2021年5月23日    秩父宮 )

<サントリー・パナソニック>優勝に笑顔の福岡(左から4人目)らパナソニックフィフティーン。前列左端はディーンズ監督(撮影・吉田 剛)
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 パナソニックが31―26でサントリーを下し、5季ぶり5度目のリーグ制覇(日本選手権は6度目)を達成した。リーグ優勝5度は、サントリー、東芝と並ぶ最多タイ。今年4月に順大医学部に入学した元日本代表のWTB福岡堅樹(28)は、前半30分にトライを挙げ、16年4月の入団後、最初で最後の優勝で引退の花道を飾った。03年に産声を上げたトップリーグ(TL)はその役割を終え、来年1月開幕予定の新リーグに移行する。

 涙はなかった。達成感に満ちあふれた、晴れやかな表情を浮かべた。逆サイドのスクラム直後にボールが蹴り出されて優勝決定。バックスタンド側で、ポツンと1人で笛を聞いた福岡は、歓喜の輪に駆け寄ることなく、大きな喜びと、現役生活に別れを告げる寂しさの両方をかみ締めた。

 「最後の試合と考えずに、目の前のワンプレーを後悔しないようにと心に決めていた。唯一やり残したこと、チームでの優勝ができて、何一つ、後悔なく次の道へ進める」

 千両役者は最後まで千両役者だった。前半5分にCTBライリーが先制トライ。さらに2PGを加えて迎えた同30分、SO松田からの2人飛ばしのパスを左タッチライン際で受け取り、20メートル先のインゴール左隅へダイブした。「(松田)力也と目が合って、絶対に放ってくれると思った。相手もいたが、自分の強さで取り切れると」。スピードと、バレットら2人のタックルを振り切る体幹の強さで、今季14個目のトライをねじ込んだ。

 歯科医の父・綱二郎さん、内科医だった母方の祖父・崎村正弘さんの影響を受け、幼いころから医者を志した。W杯と五輪に出場するほどの超一流になっても、意志を貫いた。スタンドで見守った綱二郎さんは言う。「(延期で)東京五輪を断念した時も相談はなかった。“この日に会見するから”と報告があっただけ。他人に言われて方向転換し、後悔するのは嫌なんだろう」。意志の強さで、ラストシーズンも受験勉強や授業との両立という困難を乗り越えた。

 コロナ下の一年。昨年、チームが本格始動する前には、選手1人が新型コロナの陽性判定を受けた。そこでオフフィールドの行動でも厳格なルールを設けた。ロビー・ディーンズ監督も「規律高く生活したことが、グラウンドにもつながっている」と言う。決勝も反則はわずか5個。規律の高さで、トライ数を上回られながらも勝ち切った。

 ラグビー界の後輩へ、福岡は「前例がないと諦めていた人の挑戦につながったらうれしい」と金言を残した。大団円のラグビー人生を駆け抜け、第二の人生がスタートした。

 ▼クレルモン・松島幸太朗 トップリーグで対戦相手としてプレーできたこと、代表でも試合を一緒にプレーできて楽しかった!W杯で“ダブル・フェラーリ”と言われて少し恥ずかしかったけど、結果的に日本を盛り上げられたことはいい思い出。いずれは選手みんなに来るであろう引退する日は、選手としては早かったと思われるかもしれないけど堅樹の選択したこれからの新しい人生を尊敬するし応援してます!また飯でも行こう!

 ▼パナソニック・堀江 早く医者になってほしい。チームドクターになってくれたらいい。(足が速いので)一番早く、選手の元に駆け付けられるのではないか。

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