山神孝志氏 桐蔭学園はみんなが同じ絵を見ていた 心と技が一致した100回大会勝者にふさわしいチーム

[ 2021年1月10日 12:55 ]

第100回全国高校ラグビー大会決勝 桐蔭学園32-15京都成章 ( 2021年1月9日    花園ラグビー場 )

大阪掲載<山神孝志の目>高校ラグビー評論用 山神孝志氏(撮影・北條 貴史)

 【山神孝志氏の目】桐蔭学園はみんなが同じ絵を見ていた。前半は蹴らずにボールをキープし、体を当て続けた。ラインアウトも1カ所しか上がらない4人で臨み、最もシンプルに取れる方法を選択。ボールを持っている方が強いというボールゲームの原理原則を追求した。

 完勝のゲームで目を引いたのは、桐蔭学園の選手がゲインする際、必ず細かなステップを入れていたことだ。わずか数センチだが、ディフェンスの力を逃がすことで、簡単には倒れないし前進もできる。FB矢崎由君は特にそれが上手だった。もう一つはラックの見極めだ。奪いにいくところといかないところの規律が徹底していた。

 京都成章はチャレンジャーという立場を自任していたのであれば、どこかでリスクを冒すべきだった。キックオフのボールを取りに行ったり、ハイパントを上げたり…。早い時間帯に、何らかの工夫が欲しかった。

 桐蔭学園はコロナ禍による自粛期間中、ラグビーの理解度を上げる、物を考えるアプローチをしていたと思う。普通は理想と現実のギャップがあるものだが、やりたいこととできることの差がなかった。100回大会の勝者にふさわしい、心と技が一致したチームだった。 
(15人制日本代表前強化部門長、クボタ、同大元監督)

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2021年1月10日のニュース