荒磯親方が“異例”初場所占う――貴景勝、綱獲りへ 突き押し得意2人倒し序盤から突っ走れ

[ 2021年1月10日 10:00 ]

優勝額贈呈式で記念撮影に応じる貴景勝
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 大相撲初場所は10日に東京・両国国技館で初日を迎える。白鵬(35=宮城野部屋)、鶴竜(35=陸奥部屋)の両横綱が3場所連続で初日から休場。11月場所で2度目の優勝を果たし初の綱獲りに臨む大関・貴景勝(24=常盤山部屋)、カド番の2大関、朝乃山(26=高砂部屋)と正代(29=時津風部屋)が中心となるが、三役勢も好調で混戦模様は変わらない。コロナ禍で初日から関取16人が休場する異例の場所をスポニチ本紙評論家の荒磯親方(元横綱・稀勢の里)が展望する。

 両横綱が不在で3人の大関には今場所も大きな期待がかかります。2場所連続優勝を目指す貴景勝は、序盤でいかに波に乗っていけるかが焦点となりそうです。初日は御嶽海、2日目は大栄翔。ともに突き押しがベースの力士です。実力的にも手ごわい2人ですが、大関のこれまでの内容を見る限りでは突き押しにはうまく対応しています。前に出ながら相手の圧力をうまくさばいている印象です。コロナ禍のなか、出稽古ができないなど日頃の調整は難しい面もありましたが、幸いなことに部屋には力をつけている隆の勝や、貴源治らがおり、稽古相手には恵まれています。逆に関取が自身一人の御嶽海と比べても有利に働くのではないでしょうか。鍵となる序盤をいい形で乗り切れば突っ走っていく可能性が高いとみています。

 ライバルの2人の大関は、ともにカド番。どうしても星勘定が気になってしまいますが、昇進したときの相撲を改めて思い出して取ってほしいと思います。朝乃山は11月場所で右肩を痛めて途中休場。負けには負けの理由がありますが、ケガにもケガをする理由があるはずです。右四つの型を持っている力士ですが、立ち合いでの踏み込みや角度などいい頃の鋭さが若干ないようにも見受けられます。先場所のケガを教訓に再起を図ってもらいたい。

 正代も上体を反らせながら立つ独特の立ち合いをどんどん磨いていってほしい力士です。以前は立ち合いの踏み込みが弱かったこともあり、相手に懐に入られやすかったのですが、前への出足が出てきたのが成長を後押ししています。力強い踏み込みがあってこそ「特異性」を存分に生かせるというのが私の見立てです。

 3人の大関が中心にはなりますが、優勝争いは混戦です。関脇・照ノ富士は自分が対戦した頃と比べると相撲内容が変わってきました。以前は荒々しさがセールスポイントでしたが、最近はまわしの取り方ひとつでも数段成長している印象です。優勝して大関復帰というシーンも見てみたい思いです。(元横綱・稀勢の里)

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