京都成章、初V届かず…本橋意地のトライも、後半に突き放される

[ 2021年1月10日 05:30 ]

第100回全国高校ラグビー選手権決勝   京都成章15-32桐蔭学園 ( 2021年1月9日    花園ラグビー場 )

<桐蔭学園・京都成章>  敗れた本橋(左端)ら京都成章フィフティーン(撮影・成瀬 徹)  
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 桐蔭学園の強さは想定以上だった。10―10で迎えた後半に、その差が色濃く表れた。

 2分、京都成章は自陣でボールを奪い返した直後、パスミスが出た。拾われて勝ち越された後は、ロックの青木、No・8佐藤らに前に出られ、後退に歯止めが利かない。

 18分、青木から2つのオフロードパスをつながれ、22点差にされる決定的な1本を許した。鋭く、次々と入る自慢の「ピラニア・タックル」が、タックルを受けながらつなぐオフロードの餌食にされた。5試合で失トライ4の堅守が、1試合で4トライを奪われた。

 FB辻野とともに共同主将を務めるSH宮尾が天を仰ぐ。「桐蔭は前半に風下を取って、風上の後半に勝負してくると考えていた。実際その通りになった。風下の前半は継続して攻めてくるのも想定内だった」。蹴らずにガツガツ当たってくる相手に、確かに抵抗した。しかし、代償はあった。ロック本橋は「密集と接点の強さで体力を消耗した」と、相手のパワーに脱帽した。

 昨大会の準々決勝。常翔学園戦はラストワンプレーで敗れた。その夜のミーティングから、この代は始まった。

 1年のテーマを「勝心」(しょうしん)と掲げた。「苦しい時に弱さが出る。その自分に勝つ心でやろう」と、宮尾、FB辻野が中心になってチームのTシャツにもその2文字を記した。実戦形式は笛が鳴って終わりにしなかった。もうワンプレー、全力でぶつかり、走った。

 「最後までやり切ることで次の準備ができる」と宮尾。小さなこだわりを積み重ね、チームカラーの守備を磨き、過去3度敗れていた準決勝を、この代が初めて突破した。勝心の「勝」は、「笑」に置き換えられる。宮尾も辻野も本橋も、悔しさを飲み込んで笑っていた。信念は貫いた。

 ≪本橋「やれることはやった」≫「ジャイアン」ことロック本橋が意地のトライを挙げた。10―32の試合終了間際、右サイドでもらい、ハンドオフで1人を突き飛ばして大会通算5トライ目を挙げた。「悔しいけど、やれることはやったと思う。向こうが全てで1枚上だった」。自己評価が厳しく、練習中のふがいないプレーの後、涙を流したことは1度や2度ではない。1メートル93、113キロの大器。進学予定の帝京大でレベルアップを目指す。

 ▽京都成章主な3年生の進路 松本直明(天理大)、森達喜(法大)、中野裕翔、四宮勇斗、小池勇斗(以上日大)、八代デビット太郎(立大)、本橋拓馬、松沢駿平、清水嵩輔(以上帝京大)、中野喜介、堤保澄、徳永司也(以上関学大)、堀田凌永(大体大)、宮尾昌典(早大)、辻野隼大、西村建哉(京産大)、福井真仁(大東大)、山田歩季(明大)、中川湧真、村田和志(以上東海大)

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