マラソン代表選考「一発勝負」MGC シューズメーカー、TV局、出身大も“熱い戦い”

[ 2019年9月11日 09:00 ]

マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)   男子8時50分スタート、女子9時10分スタート ( 2019年9月15日    明治神宮外苑発着 )

<シカゴマラソン2018>大迫傑(ナイキ)着用「ズーム ヴェイパーフライ4% フライニット」
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 男女総勢43人のトップランナーによる「一発勝負」の東京五輪男女マラソン代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」まであと4日に迫った。激闘が繰り広げられるのはコース上だけではない。選手が着用するシューズメーカー同士の足元を巡る戦い、男女が同じコースを同時刻に駆け抜ける一大イベントを中継するテレビ局の裏側などに迫った。

 ◆世界へ絶好のアピール機会
 シャツとランニングパンツという軽装に身を包んだ選手たちにとって、唯一無二の“武器”といえるものがシューズだ。昨今はランニングブームも相まって有名選手たちが履く色とりどりのシューズを市民ランナーがこぞって買い求めるだけに、シューズメーカーも足元の戦いにも注力が集まる。

 男子31選手、女子12選手がMGCで着用予定、もしくは直近で履いていたシューズのメーカーをまとめたところ、43人中ナイキが18人と最多を占めた。男子の「4強」の中で大迫、設楽、服部の3人がナイキ。今大会に向けては長距離界の話題をさらった厚底シューズの最新版「ヴェイパーフライネクスト%」の新色ピンクが本番でお披露目となるが、日本記録保持者の大迫はすぐにピンク色シューズを履きたいとリクエストしたという。

 2番目に多いのが国内メーカーのアシックスで4強では井上が着用する。同社によると「MGCや世界選手権、東京五輪に向けて開発している商品を投入予定」。ウエアも東京五輪用に開発しているものをテストするという。五輪仕様というユニホームも要注目だ。

 アンダーアーマーは女子の岩出の意見を取り入れたシューズを開発。21年には岩出シューズをベースとした市販のモデルも販売するという。MGCをきっかけにラインアップのてこ入れを図る。五輪組織委参与の上治丈太郎氏によると「メダル獲得に貢献した商品はその後の市場での優位性が保証される」というだけに、各メーカーとしては是が非でも自社製品を送り込みたいところだ。マラソンは集団の先頭を走り続ければ約2時間、自社シューズが世界中の視聴者の目に触れるだけに、メーカー同士も絶対に負けられない戦いになる。

 ◆男子はTBS、女子はNHKが生放送
 ほぼ同時刻に男女が同じコースを駆け抜ける前代未聞の一大イベントを男子はTBS、女子はNHKが生放送する。従来の代表選考レースは主催に名を連ねるテレビ各局が中継してきたが、新規のMGCでは各局が中継の意思と男女の希望を日本陸連側に申請。複数のテレビ局がプレゼンテーションを行った上で日本陸連が審査し、昨年8月に放送局が決まった。関係者によれば、各局の実績なども考慮に入れて決定したという。

 長年「世界陸上」を放送するTBSの坂井厚弘プロデューサー(45)は希望通りの男子となり「“陸上局”と我々が名乗っている以上、やりたいと思っていたので視聴者に良いものを見せたいと思います」と力が入る。NHKの松崎哲プロデューサー(49)は「陸連側から女子をやってほしいと言われた。MGCに関われるのであれば男女どちらでもうれしい」と号砲を心待ちにしている。

 午前8時50分号砲の男子を放送するTBSの中継スタッフは約200人で中継車2台、バイク3台で31人の激走を余すところなく放送する。ニューイヤー駅伝などロードレース中継の実績がある同局だが、都心のレースを中継するのは初。坂井プロデューサーは「前例がなく一からのシステムづくりだった」と語る。

 午前9時10分開始の女子を中継するNHKは当日約200人の態勢はTBSと同じ。松崎プロデューサーは「両局で使用する電波の帯域や中継基地の運用方法などを話し合ってきた」という。地上波だけではなく、NHKでは特設サイトで男女のライブストリーミングを実施予定で「男女4つのチャンネルから好みの映像を楽しむことができる」と自信を見せる。

 両局は前日14日から異例のコラボを実施する。NHK解説の野口みずき氏(41)、TBS解説の高橋尚子氏(47)の金メダルコンビが、午後1時50分からNHK「土曜スタジオパーク」、同4時からTBS「マラソングランドチャンピオンシップ明日号砲SP」に出演し大会をPRする。15日はともに午前8時から中継番組を開始。冒頭で双方の出演者が一堂に並び、両局が同じシーンを放送する。NHK「グッと!スポーツ」のキャスターを務める嵐・相葉雅紀(36)、TBSの安住紳一郎アナ(46)らが出演する予定。スタート後も、アナウンサーが局の垣根を越えて途中経過をリポートする。

 ◆「箱根から世界へ」最多は東洋大
 「箱根から世界へ」。大学駅伝界を象徴するキャッチフレーズだ。MGCに出場する男子31人のうち、大学出身は28人で箱根駅伝経験者は25人に上る。中でも最多5人を送り込んだのが“鉄紺”の東洋大だ。前日本記録保持者の設楽を含む5人全員が箱根駅伝優勝を経験。黄金時代を支えたエースたちが順当に成長を遂げた。服部は「五輪に駅伝はない、マラソンで五輪に出場したいという思いは大学からあった」と高い意識で4年間を過ごしていた。

 東洋大に続くのが青学大の4人。当初はMGC出場資格獲得者が現れず「駅伝だけ」という評価もささやかれたが、今年2月の別府大分毎日マラソンで橋本が嫌な流れを打ち破った。そこから藤川、神野、一色と4人が名を連ねた。

 箱根駅伝最多14回の優勝を誇る名門・中大からは堀尾だけ、歴代2位13回優勝の早大も大迫1人と名門校出身者が振るわなかった。一方で、箱根駅伝未経験の麗沢大から河合がMGCに出場するなど大学駅伝を通した強化は着実に根付いている。

 高校から実業団に進んで鍛錬を積んできた“叩き上げ”の選手も3人が出場。中京高からトヨタ自動車に進んだ宮脇は「世界を目指そうと言われ入社した。箱根じゃなくて実業団を選んだので全力を出したい」と意気込みを語る。MHPSからは木滑(瓊浦高出身)と岩田(福岡工高出身)の2人が五輪出場を狙う。

 大会当日はコース沿道で出身OB選手を応援する大学も多いという。すでに地方の大学はバスをチャーターして乗り込む予定を組むなど臨戦態勢を敷いている。実業団の応援と合わせ、さながら箱根駅伝とニューイヤー駅伝が一緒に開催されているような、史上最もにぎやかなマラソンになりそうだ。

 《暑さ対策テスト“かち割り”配布》MGCでは陸連の主導で来年8月の本番をにらんだ暑さ対策のテストも行われる。今回は、新たに各給水所で夏の甲子園名物“かち割り”のようなクラッシュアイスを入れたビニール袋を配布する。五輪組織委員会によると選手のアイシングが目的だが「袋を破いて飲んでもかまわない」という。また、通常は5キロおきに置かれる給水所を今回は2.5キロごとに配置し、さらに終盤には5カ所を増設。水分補給を全力サポートする。

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