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渋野、日本勢42年ぶりメジャー制覇!“スマイルシンデレラ”歓喜の瞬間も笑顔「全然涙が出てこない」

[ 2019年8月6日 05:30 ]

米女子ゴルフツアーAIG全英女子オープン最終日 ( 2019年8月4日    ミルトンキーンズ ウォバーンGC=6756ヤード、パー72 )

優勝トロフィーにキスする渋野(撮影・沢田 明徳)
Photo By スポニチ

 2打差の首位から出た海外初挑戦の渋野日向子(20=RSK山陽放送)が7バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの68で回り、通算18アンダー、270で優勝した。日本勢のメジャー勝利は77年の全米女子プロを制した樋口久子(73=現日本女子プロゴルフ協会顧問)以来で42年ぶり2人目の快挙。昨年7月にプロテストに合格してから約1年、“スマイルシンデレラ”が世界最高峰の舞台で頂点に立った。

 やっぱり“スマイルシンデレラ”だった。5メートルのウイニングパットを沈めると、パターを高く突き上げた。そして手で口元を押さえ、感極まった表情を浮かべたように見えた。だが「泣きそうになるかと思ってやったら、全然涙が出てこない。なんじゃそれ、みたいな」。渋野らしい満面の笑みで、日本2人目の偉業を成し遂げた。

 「やっちゃいましたね、本当に。なんで勝っちゃったんだろう」

 3番で今大会初のダブルボギー。グリーン上では手が震えた。首位から2位に後退。だが、「4パットは自分が攻めた結果」。そこから目の色が変わった。「追われるよりも本領を発揮できる」。闘争心に火が付いた。

 得意のインコースでエンジンがかかった。象徴的だったのは253ヤードと短く設定された12番パー4。「ドライバーを持たなかったら悔いが残る」。同組のブハイが2オンを狙う中、渋野は1Wを手に取った。グリーンは池の奥。リスク覚悟でぎりぎり手前のカラーに着弾させ、バーディーを奪った。

 最終18番では第2打を待つ間に駄菓子をむしゃむしゃ。キャディーを務める青木翔コーチ(36)と「ここでシャンクしたらかっこ悪いな~」と笑い合った。優勝を決めた下りのバーディーパットも「最後も強気で壁ドンで入ったので、やり切った~!」。この日も後半は5バーディー。インでの4日間18バーディーはそのまま貯金となった。笑顔を絶やさず、ハイタッチに気軽に応じる。加えて地元ファンから「あなたはプレーが速くていい」と声をかけられるほどのテンポの良さ。思い切りが良くて底抜けに明るいキャラクターがギャラリーも味方につけ、終盤の好プレーにつながった。

 だが、笑顔の裏には大きなプレッシャーもあった。「苦しかった」。大会期間中は周囲に幾度となく「日本に帰りたい」とつぶやいた。それでも、つらさを見せないのは6月の出来事があったから。5月の初優勝後に低迷。道具に怒りをぶつけたとき、普段は温厚な青木コーチに怒鳴られた。「できないことをやろうとして、当たるのはやめろ」。はっとした。「自分らしくやろう」。天真爛漫(らんまん)さを貫いた。

 優勝で米ツアーメンバーになる資格を獲得。だが、参戦の予定はない。「これからも日本で戦います。だって日本が好きだから」。世界をとりこにした笑顔は早速、9日開幕の北海道meijiカップ(札幌国際CC)で見られる。当面の目標は賞金1億円突破と東京五輪出場。昨年末563位の世界ランクは大会後、15位以内に浮上し、五輪出場圏内の日本勢2番手となる見通しだ。6日に凱旋。シンデレラストーリーの続きは日本が舞台となる。

○…渋野は米女子ツアーの自身初戦で優勝したが、これは1950年にスタートした同ツアーで過去に例のない記録だった。初年度となった1950年シーズンの開幕戦を除き、プロとして同ツアーのデビュー戦でいきなり勝ったのは1951年7月のイースタン・オープンを制したビバリー・ハンソンがいる。ただハンソンは前年、アマとしてテキサス・オープンに出場していた。渋野のように「初戦&初勝利」はツアー史上初めてだった。

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