紀平、逆転Vならずもフリー1位 3回転半2発で意地の2位

[ 2018年12月24日 05:30 ]

フィギュアスケート全日本選手権第3日 ( 2018年12月23日    大阪・東和薬品ラクタブドーム )

女子フリー、演技をする紀平梨花(撮影・小海途 良幹)
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 女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)5位の紀平梨花(16=関大KFSC)は合計223・76点で2位だった。代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に成功したものの、史上最大8・01点差の逆転はならなかった。平昌五輪6位でSP2位の坂本花織(18=シスメックス)が合計228・01点で初優勝。来年3月の世界選手権(埼玉)代表1号に決まった。

 紀平が16歳とは思えぬ精神力を見せた。SPで転倒した代名詞のトリプルアクセルを2本とも成功。2日前に左腕を打ち、違和感を抱えていたにもかかわらず乗り切った。3連続ジャンプは、1本目の着氷でバランスを崩しながら、とっさにつなげる反応の良さもあり、フリーは堂々の1位だった。

 大会前から、革が柔らかくなったスケート靴に不安を抱えていた。靴の上から巻く補強テープを、SPの3重から4重に変更し「これでいいかも」と手応えをつかんでいた。国際連盟公認ではないもののフリーの155・01点は自己記録。GPファイナルを初出場で制した実力者らしい巻き返しだった。

 「ここでできない人は五輪でも絶対に勝てないと思ったし、こんなとこでミス連発とかあり得ないと思った」

 幼稚園時代は1日5冊、卒園するまでに1000冊近くを読んだという読書家は今、スポーツのメンタル書を愛読。現状に満足せず、未来を見て取り組む姿勢を学んだ。

 9月のスロバキアでの国際大会。暗い控室からリンクに立つと、あまりのまぶしさに一瞬、頭が真っ白になったという。だが、ひるまなかった。その後の大舞台を想像し「もっと光が強くなるはず。それに慣れないと」と、言い聞かせて優勝。過去には、報道陣のシャッター音が気になって調子を崩した繊細な心は、日頃の心構えで強くなった。

 最終滑走の坂本に優勝をさらわれたが、SP5位から大逆襲。2位で世界選手権代表を確実とした。しかし、「なんとか2位になれたけど、まだまだ足りない」と、喜びを最小限にとどめた。

 この日の朝、会場に向かう車中で、22日のロシア選手権の動画を見たという。平昌五輪Vのザギトワが5位に沈み、ジュニア勢が表彰台を独占した。すぐそこまで来ている女子4回転時代。トリプルアクセルの上をいくジャンプを常に意識しながら、今を戦っている。

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2018年12月24日のニュース