乙黒拓、33秒殺で初頂点 20歳世界王者が異次元の強さ

[ 2018年12月24日 05:30 ]

レスリング全日本選手権最終日 ( 2018年12月23日    東京・駒沢体育館 )

優勝した乙黒拓(撮影・篠原岳夫)
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 男子フリー65キロ級は10月の世界選手権で日本男子史上最年少優勝を果たした乙黒拓斗(20=山梨学院大)が初優勝を飾った。決勝では昨年優勝の高谷大地(24=自衛隊)に33秒でテクニカルフォール勝ち。20年東京五輪代表争いの初戦で、異次元の強さを見せつけた。

 瞬殺だった。開始早々、乙黒は高谷のバックを取って2―0。さらに両脚をつかむと、ローリングで相手の体をグルングルンと回した。4回転した時点で8点が加わり10―0のテクニカルフォール。どよめきすら起きる圧巻の勝利にドヤ顔をのぞかせ、「技がはまって気持ち良く勝てた。いろんな人に自分を倒すと言われたけど、自分が一番と証明できた」と満足そうだった。

 日本男子史上最年少の19歳10カ月で優勝を飾った世界選手権の決勝で右足首を負傷。今大会へ向けて練習できたのは約1週間、しかもテーピングを施した状態で「満足する練習はできなかった」という。それでも、五輪代表争いのライバルを全く寄せつけない完勝。13日に20歳の誕生日を迎えたばかりのホープは「凄く伸びた。上をただ見て、練習をひたすらやった結果」と躍進の一年を振り返った。

 試合前の年間表彰では五輪や世界選手権の金メダリストを育てた親を称える「ペアレント賞」を受賞した父・正也さん(44)と一緒に登壇。実家の8畳間を“道場”に改造して稽古をつけてくれた父への言葉をリクエストされ、照れながら「凄く感謝してます」の一言だけで場内の笑いを誘った。19年は年頭から全力で練習を再開できる見込み。「20年はもうすぐだと思う。東京で優勝できるように準備していきたい」と表情を引き締めた。

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2018年12月24日のニュース