【岡崎真の目】紀平、大きく響いたSPでの出遅れ 彼女にとっていい経験に

[ 2018年12月24日 08:30 ]

フィギュアスケート全日本選手権第3日 ( 2018年12月23日    大阪・東和薬品ラクタブドーム )

女子フリー、演技を終えガッツポーズをする紀平梨花(撮影・小海途 良幹)
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 紀平はSPの時と比べると表情もきりっとしていて、何が何でも1番になるんだという強さを感じた。冒頭からのトリプルアクセル(3A)は2本とも文句なし。厳密に言えば2本目の3Aや次の3回転ループは若干軸が外れていたが、それでも何ということなく降りて、GOE(出来栄え評価)でもしっかりプラスを稼いだ。本来ならSPでも同じように降りられていたはずなのに転倒してしまったのは、やはり精神状態が違っていたということなのだろう。

 確かにNHK杯の時はフリーで大逆転したが、その時と違うのはSPで3Aだけでなく3回転―3回転の連続ジャンプが3回転―2回転になるミスをもう一つ犯していたことだ。加えて今回はフリーでも後半の3連続ジャンプをミスしている。いくら3Aという武器を持っていても、やはりSPで大きく出遅れると逆転が難しい場合もある。彼女にとってはいい経験になったと思いたい。

 対照的に坂本の方はSPもフリーも、ともにクリーンな演技だった。持ち前の力強さと、高さと流れのあるジャンプは健在で、今年は表現力でも力をつけている。プログラムも彼女の特長を生かしてうまくフィットしているし、世界選手権でも十分期待できそうだ。 (ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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2018年12月24日のニュース