高橋が帰ってきた!5年ぶり舞台2位好発進、復帰後SP自己最高88・52点

[ 2018年12月23日 05:30 ]

フィギュアスケート全日本選手権第2日 ( 2018年12月22日    大阪・東和薬品ラクタブドーム )

男子SPの演技を終え笑顔を見せる高橋(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 男子ショートプログラム(SP)が行われ、5年ぶりに出場した10年バンクーバー五輪銅メダリストの高橋大輔(32=関大KFSC)はほぼミスのない演技で今季自己最高の88・52点で2位発進した。表彰台、その先の世界選手権(来年3月・埼玉)出場も見えてきた。平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨(21=トヨタ自動車)は102・06点で首位。23日には女子フリーが行われる。

 5年ぶりにたどり着いた日本最高峰の舞台。演技を終えた高橋は、しばらく余韻に浸っていた。詰めかけた観客が総立ちで、万雷の拍手が鳴りやまない。数え切れないほどのフラワーシャワーも浴びた。自己最高得点で2位発進。百戦錬磨の32歳はその喜び以上に、意外な感情で満たされていた。

 「試合っていいな、と改めて思った。この場所は居心地がいい。できれば(現役を)長くやっていきたい、とまた思うような感じもあった。試合を終えても、この場所にとどまっていたい」。

 万感の思いが、演技に乗り移った。冒頭のトリプルアクセルをこらえて着氷。続く2つのジャンプは完璧に決めた。定評のあるステップ、スピンでも魅了。坂本龍一作曲の「シェルタリング・スカイ」の奥行きのある音楽に没入し、演技点45・14点は世界の第一線で戦う宇野に0・11差と肉薄するほどだった。

 ちょうど5年前の13年12月22日。悲鳴を上げた右膝と闘い、ソチ五輪の選考会も兼ねた全日本で5位。ミスを重ねて涙があふれた前回とは180度違う精神状態だった。「フィギアスケートは時代とともに変わっていく。今、時代にそぐうスケートにどれだけ近づけるか。その中で高橋大輔っていいな、レジェンドと呼ばれているだけあるなって見てもらえたら」。そう言いながら笑える余裕も、今の高橋を支える重要な要素。長光コーチが「ソチ五輪の時より膝はだいぶ良い」と話すほど心と体が一致している。1週間前には「今出し切らず、全日本で出し切ろう」と仲間内で話すほどだった。

 表彰台、そして世界選手権切符も視界に捉えた。あす24日には、4回転トーループを組み込む予定のフリーが待つ。「近畿より西日本、西日本より全日本…と緊張感が高くなっていく戦いが心地良い。もし世界で戦うとなったとしたら、より一層心地良いのかな…」と新たな欲も生まれた。フリーを完璧に演じて、レジェンドが完全復活を見せる。

 【高橋復帰後の経過】

 ▽7月1日 都内で会見し、5季ぶりの現役復帰を表明。長光コーチの下で4月から練習を再開。「現役という形で納得してから次に行かないと」。

 ▽8月17日 自身のホームページで練習中に左脚内転筋を肉離れしたと発表。出演予定のアイスショーでの演技を取りやめた。

 ▽10月7〜8日 近畿選手権に出場し、SP1位ながらフリーではミスが響いて4位にとどまり合計3位。「自分でもよく分からない状態」と緊張したが、西日本選手権へ進出。

 ▽11月3〜4日 西日本選手権でSP、フリーとも4回転を回避しながら首位で優勝。全日本選手権へと駒を進め「もしメダルが見えるのであれば、大きく目標を持って挑んでいきたい」。

 ▼世界選手権代表選考 男女とも3枠。全日本選手権優勝者が決定。2人目は全日本2、3位の選手、GPファイナル出場の上位2選手、全日本終了時の世界ランク上位3選手から選考。2人目の選考から漏れた選手を、国際連盟公認大会での今季自己ベストなどから3人目として選ぶ。

 また、実績のある選手がやむを得ない理由で欠場した場合の救済措置もあり、羽生結弦(ANA)は右足首の負傷で欠場しているが、選ばれる可能性が高い。今季国際大会への出場がない高橋は代表入りした場合、国際連盟が定める世界選手権出場条件の最低技術点(SP34点、フリー64点)を今後クリアする必要がある。

続きを表示

この記事のフォト

2018年12月23日のニュース