羽生 封印の4回転半 来年3月、埼玉開催世界選手権で挑戦も

[ 2018年11月6日 05:30 ]

エキシビションで情感豊かな演技で観客を魅了した羽生(撮影・小海途 良幹)
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 フィギュアスケートのGPシリーズ、フィンランド大会男子で優勝した羽生結弦(23=ANA)は4日、最大目標とするクワッドアクセル(4回転半)の練習を12月の全日本選手権(大阪)後まで封印し、年明けに再開する意向を示した。今大会で世界初の4回転トーループ―トリプルアクセル(3回転半)に着氷した王者は、来年3月に日本で行われる世界選手権(さいたま市)でさらなる大技に挑戦する可能性が高まった。

 試合終了後、慌ただしくエキシビションにも参加した羽生は、大会前の一つの決断を明かした。「4回転アクセルを諦めました。諦めることで自分にスイッチを入れました」。五輪2連覇達成後の最大の目標と公言していたクワッドアクセルの練習の一時中断だった。

 今季初戦となった9月のオータム・クラシックは優勝したものの、低調な内容だった。悔しさで闘争心に火がついた王者は「4回転アクセルを諦めた以上はクリーンな演技をしろよ、と自分にプレッシャーをかけた」と言う。ルール改正で各要素の出来栄え評価の幅は7段階から11段階に拡大。ミスをすれば、減点幅はより大きくなる。新ルールで勝つために、この1カ月の練習では演技の完成度を高めることに心を砕いてきた。

 「(決断は)簡単ではなかったけれど、いい演技ができると、ご褒美がある。練習を頑張って良かったと思う」。今大会では従来の4回転―2回転の連続トーループより高得点が見込める4回転トーループ―トリプルアクセルを世界で初めて着氷。SPに続いて、フリーと合計もルール改正後の世界最高得点をマークしての圧勝劇だった。

 もちろんクワッドアクセル挑戦そのものを諦めたわけではなく、「今季中にはやりたいと思っています」と改めて明言した。今後は2週後にロシア杯、12月にGPファイナル(バンクーバー)と全日本選手権(大阪)と試合が続くため、練習は「やれても全日本の後」と当面封印し、年明けあたりから再開する意向だ。

 現状のクワッドアクセルの完成度は「5%ぐらい」と説明した。この先練習を積んで「20%ぐらいになったら、できるかな」と見通しを示した。年明けの試合は未定だが、これまでは2月の四大陸選手権をスキップすることが多く、3月の世界選手権(さいたま市)が初戦となる可能性が高い。そこまでなら、十分な準備期間もできる。日本開催の大舞台こそが、世界初の大技のお披露目にはふさわしい。

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