羽生結弦が目指す「前人未到」の領域 王者の次なる“ゴール”とは

[ 2018年11月6日 10:30 ]

フィギュアスケートGPシリーズ第3戦フィンランド大会 ( ヘルシンキ )

エキシビションで担ぎ上げられ幸せそうに笑う羽生(撮影・小海途 良幹)
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 五輪連覇を達成した王者・羽生結弦(23=ANA)は、どこへ向かうのか。新たなシーズンの幕開けの演技を分析したスポニチ本紙解説者の岡崎真氏(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)は、キーワードに「前人未到」を挙げた。

 フィンランドでの演技を見て、羽生の目指す方向性が少しだけ理解できたような気がする。キーワードは「前人未到」だろうか。

 例えば、フリーで着氷した4回転トーループ+3回転半のジャンプ。後ろ向きに着氷し、前向きに跳ぶ際に、踏み切る足を替えるため「コンビネーション」ではなく「シークエンス」と判定され、基礎点は2つのジャンプの合計の80%となる。

 つまり、基礎点9・5点の4回転トーループと、8点の3回転半を合計すると17・5点だが、シークエンスの場合は20%引かれるので、14・0点になる。“損失”は3・5点で、2回転半1回(3・3点)より大きい。もちろん、今季からGOE(出来栄え評価)による加点幅が増え、インパクトあるジャンプが成功した場合の“見返り”は大きくなる可能性もあるが、あくまで羽生が挑むのは「誰もやったことがない」にこだわるからではないか。

 今後は4回転半を目指すと公言しているが、いわゆるアクセルは選手によって最も得手不得手がはっきりするジャンプ。前向きに踏み切るため、恐怖心が生まれることが理由と考えられるが羽生にとって最も得意なジャンプと言っても過言ではない。得意なジャンプの先に「前人未到」があるのなら、目指すのが、羽生らしいと思う。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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