リトルJK岩淵麗楽、ビッグエア優勝 W杯3戦目で初頂点

[ 2017年12月12日 05:30 ]

スノーボード W杯ビッグエア決勝 ( 2017年12月10日    米コロラド州コッパーマウンテン )

女子ビッグエア決勝、3回目のスコアを見て喜ぶ岩渕麗楽
Photo By 共同

 女子は15歳の岩渕麗楽(れいら、キララクエストク)が合計169・25点で初優勝した。3回目に難度の高い3回転の「バックサイド1080」を決めるなど、スロープスタイルを含めたW杯3戦目にして早くも優勝。平昌五輪から採用される新種目で、代表入りどころか一躍金メダル候補に名乗りを上げた。藤森由香(31=アルビレックス新潟)は126・00点で6位。男子の大久保勇利(17=ムラサキスポーツ)は111・50点で8位に終わった。

 身長は1メートル49、化粧もまだしていない。最近もスキー場のリフト券売り場で小学生ですかと尋ねられた。「いや、高校生です」と言ったら「すみません」と逆に謝られた。そんな15歳は優勝が決まると感激にあふれたころんとした笑顔。だがその唇にはうっすらと血がにじんでいた。

 「今はただうれしいしかない。ずっと調子が悪くて、公開練習でもやられちゃって(転倒して)、不安しか残ってなかった」

 3回の演技のうち、回転方向や軸が異なる2種類のジャンプの合計点で争う決勝。勝利を決定づけたのは最後のバックサイド1080だった。試合前の公式練習ではこの技で顔面を強打。唇を切るなどその後の練習もできなかった。

 ヘルメットとゴーグルがあるとはいえ、一つの転倒は大ケガにつながりかねない。「緊張すると胸のあたりが気持ち悪くなるんで自分で押します」。スタート前に右拳で左胸をとんとん叩く。いつものルーティンを繰り返し、恐怖心を追い払った。「2本目までいいところにつけていたし、そこで引いて後悔したくなかった」。ジャンプ台の上で見守った西田崇コーチは「バインディングをはめる手も凄く震えていた」とその根性を称えた。

 勢い余った着地は両手を少し前方についたものの「そこは平昌までに直していけばいい」と言った。今回の優勝でW杯獲得ポイントによる五輪出場権ランキングは、圏内の上位30人に浮上する見込み。新種目で輝くニューヒロインには、2カ月後にさらなる大舞台が待っている。

 ▼藤森由香 予選通過できる技が増えてきている。高さ、種類が積み重なって一戦一戦成長できている。(2、3回目は着地合わずも内容には手応え)

 ▼大久保勇利 練習で腰を痛めてどんどん悪いイメージになった。慌ててしまった。(予選では最高得点も決勝では力出し切れず)

 ◇ビッグエア 長さ30メートル以上、斜度20度以上の台から飛び出し、空中で演技する種目。W杯では3〜6人のジャッジが難度、出来栄え、大きさ、着地の観点から100点満点で採点し、その平均点が得点となる。今大会はゲレンデだったが、室内や屋外で仮設のジャンプ台を使うことが多く、初採用となる平昌五輪でもノルディックスキー・ジャンプの会場に設営される。

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