朝青大はしゃぎ…伊調 13年ぶり黒星も「成長のきっかけに」

[ 2016年1月31日 05:30 ]

レスリング・ヤリギン国際の決勝でモンゴル選手(左)に敗れ引き揚げる女子58キロ級の伊調馨(保高幸子撮影)

 レスリング女子58キロ級の伊調馨(31=ALSOK)が29日にロシア・クラスノヤルスクで行われたヤリギン国際決勝で22歳のプレブドルジ(モンゴル)にテクニカルフォール負けを喫したことを受け、元横綱・朝青龍でモンゴル・レスリング協会のドルゴルスレン・ダグワドルジ会長がツイッターで狂喜乱舞した。03年3月のクリッパン国際以来13年ぶりだった敗戦の反響は大きく、8月のリオデジャネイロ五輪で4連覇を目指す伊調は立て直しが急務となる。

 国際連盟も公式サイトのトップページで報じた世紀の番狂わせ。この大金星に世界で一番喜んだのはモンゴル協会会長で元朝青龍のダグワドルジ氏だったかもしれない。

 試合が終わると座布団を投げる勢いでツイッターに連続投稿。悔しがる伊調の後ろ姿とスコアボードが写った写真とともに「Pride!!!」と書き、「信じるか信じないかあなたしたい」「モンゴル勝ち!!」と大はしゃぎだった。

 何の因果かダグワドルジ氏の横綱昇進は伊調の連勝が始まった13年前で、伝達式が行われたのはこの日と同じ1月29日だった。「きょう横綱に昇進した記念日、モンゴルレスリング協会会長になり、あの鉄人に内の女子レスラーが10―0勝ち何かの力が感じました」と運命的なものまで感じ取っていた。

 伊調にとっては確かに“朝青龍の呪縛”と思いたくもなる驚きの敗戦だった。22歳のプレブドルジは昨年の世界選手権にも出場していない無名の存在。一方で伊調は太腿痛で棄権して不戦敗となった07年アジア選手権を除けば、ここまで189連勝の大横綱。ところが第1ピリオドの序盤で3年ぶりに失点すると歯車が狂った。

 先制されて焦りが出たのか、受けの強い相手に対し、攻めてはカウンターを食らって失点を重ねる。最後もタックルをかわされ、もつれたまま場外へ。相手が先に出たようにも見えたが、主審の判定は伊調の失点。5分9秒、まさかのテクニカルフォール負けだった。

 日本協会の栄和人強化本部長は「焦って空回りしていた。もうちょっと落ち着いてやれば次は勝てる」と語った。伊調は日本協会を通じて「自分のレスリングができず、こういう結果になった。いい経験になった。リオに向けて、成長するきっかけにしたい」とコメント。実に13年ぶりの黒星。その重みをこれからかみしめることになりそうだ。

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